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【ライブレポート】MIKAGE PROJECT “壮途”TOUR 2023@浅草花劇場 〜3rd EP『KeHaRe』レコ発ライブ〜

民謡再編成プロジェクト・MIKAGE PROJECTが、6月18日、『“壮途”TOUR 2023』の初日を東京・浅草花劇場で開催した。

リーダーで尺八の佐藤公基、津軽三味線・唄の浅野祥、二十五弦箏の本間貴士の3人が、和楽器の可能性を追求しながら活動してきたMIKAGE PROJECT。日本の伝統的な文化“祭”から生まれた民謡を、現代の感覚でアレンジした5曲を収録した3rd EP『KeHaRe』のリリース記念ツアーとなる今公演にかけるメンバーの想いは熱い。日本の夏と言えば、“祭”! 梅雨明けはまだまだ先だが浴衣姿のファンも多く、会場は雅な雰囲気に包まれていた。

オープニングは、本間の二十五弦箏のソロ。ほの暗いステージでかき鳴らされる妖艶な音色に魅入られて、観客は水を打ったように静まり返った。ステージに佐藤と浅野、ゲストの美鵬流囃子方二代目家元・美鵬直三朗とベーシスト・カワサキ亮も登場しての2曲目は、静岡の盆踊り唄である「ノーエ節」。『KeHaRe』の1曲目に収録されている曲だ。

浅野祥

3曲目の「まんず秋田」から“お囃子ガールズ”も加わり、ステージが一気に華やかになった。「秋田節」をベースとして、MIKAGE流にアレンジされた「まんず秋田」は、途中に「秋田音頭」がラップで入る。小気味よい浅野とお囃子ガールズのラップのかけ合いに、客席からは自然に手拍子がわき起こった。

本間貴士

元気でキュートなお囃子ガールズの中村藍(左)、佐藤理加(中央)、藤岡祐衣(右)。彼らのコンサートにお囃子が加わることは、本公演が初。3人はそれぞれの出身に縁のある民謡をメドレーで披露した。佐藤理加は祖母の故郷である宮城県の「斎太郎節」、藤岡祐衣は岩手の代表的な民謡「南部牛追い唄」、奈良県出身の中村藍は「初瀬追分」をのびやかに華麗に歌い上げ、最後は全員で「東京音頭」で締めくくった。

「皆さん、こんばんは。MIKAGE PROJECTは、日本各地の民謡をわれわれ世代の感覚でアレンジして、民謡のよさを、改めて日本だけでなく世界に伝えていこうというコンセプトのもとに集まって、3人で活動をしています」とリーダーの佐藤。メンバー紹介では、鳴り物・太鼓の美鵬が従兄弟、お囃子の佐藤理加が実妹であることを明かし、「今日は3人の身内と、その他の他人でお送りします(笑)。客席にも家族が3人来ているので、授業参観みたいな気持ちで頑張りたいと思います」と会場を笑わせた。

日本一古い民謡といわれる「筑子(こきりこ)節」を、アップテンポでノリのよいアレンジで聴かせたあとは、日本を代表する福岡の盆踊り唄「炭坑節」を。誰もが知っている盆踊りのアレンジとはまったく違う、しっとりとした唄と演奏は、宵の口にぽっと浮かぶ黄色い満月を連想させる。

MIKAGE PROJECTリーダーの佐藤公基

大正後期から昭和にかけて作られた民謡は、“新民謡”と呼ばれている。しかし昨今は、新民謡が生まれる機会も少なくなっているという。平成に入って作られた新民謡に、美鵬と佐藤の親族が手がけた一曲がある。「平成にも新しい民謡が生まれていたことを皆さんにも知っていただきたい」と、佐藤が美鵬に説明を促した。

「公基(佐藤)と理加は、私の母方の従兄弟(従姉妹)にあたります。次に紹介させていただく『ふるさと津軽節』を作ったのは私の父で、祥(浅野)さんと一緒で津軽三味線奏者です。青森県の生まれで、ふるさとの津軽の歌をという想いで曲を作りまして、母が歌っています。そのときレコーディングは家族総出で、まだ幼かった公基と理加とお姉さん、私の弟と妹もみんなでお囃子をしたんですよね」(美鵬)

「かっこいい曲ですよね! 途中でかけ合いがありますので、お客様もぜひ一緒に」(浅野)

後半は6月9日にリリースされたばかりの『KeHaRe』の収録曲が中心のセットリスト。「秩父音頭」の前に『KeHaRe』のタイトルを名付けたという本間から説明があった。

「『KeHaRe』の“ケ”と“ハレ”は、一般的には結婚式や卒業式のような“めでたい日”として、“ハレ”の方が有名なのではないでしょうか。古い日本の考え方で、“ハレ”の日というのは特別な日のこと。それと対になる日常のことを、“ケ”と言いました。日常の中で“ケ”を使っていくと、“ケ”が枯れていって、“ケガレ”という状態になる。“ハレ”の日に、すべての“ケガレ”を落すんですね。そのハレの日に歌われる曲ということで、今回は“ケハレ”、『KeHaRe』とタイトルをつけました」(本間)

これまでは演奏に集中し、まったく言葉を発していなかった本間が饒舌に語ったので、会場からは大きな拍手がわき起こった。だが、他のメンバーからは「あやしいセミナーみたい」とからかわれる一幕もあり客席は大爆笑。より熱気が充満した。
そして、お祭りというハレの日に歌われる「秩父音頭」や「花笠音頭」、MVが公開されたばかりの「チャグチャグ馬コ」を披露。最後の「阿波踴る 〜渦と成り〜」は、阿波踊りの本場・徳島でも披露し大好評だったという。観客も踊り出さんばかりにノリに乗って、終わりまでおおいに盛り上がりを見せた。

アンコールは、「豊年こいこい節」。曲に合わせ、観客の腕が稲穂のように大きく揺れていた。MIKAGE PROJECT “壮途”TOUR 2023 in 浅草、『KeHaRe』レコ発ライブという“ハレ”は、奏者と来場者全員の“ケガレ”をすっかり落としてくれたことだろう。
MIKAGE PROJECT『“壮途”TOUR 2023』は、今後名古屋、⻑野で開催される。

◾️セットリスト
二十五弦箏 inst
M1 ノーエ節
M2 まんず秋田
M3 筑子節
M4 炭坑節
M5 民謡メドレー(斎太郎節~南部牛追い唄~初瀬追分~東京音頭)
M6 ふるさと津軽節
M7 秩父音頭
M8 花笠音頭
M9 チャグチャグ馬コ
M10 阿波踴る 〜渦と成り〜
Enc. 豊年こいこい節

 

NEW RELEASE!!

2023年6月9日 配信リリース
MIKAGE PROJECT『KeHaRe』

収録曲】
M1 ノーエ節(静岡県民謡) 作詞:静岡県民謡 作曲:静岡県民謡 アレンジ:MIKAGE PROJECT
M2 チャグチャグ馬コ(岩手県民謡) 作詞:小野金次郎 作曲:小沢直与志 アレンジ:MIKAGE PROJECT
M3 炭坑節(福岡県民謡) 作詞:福岡県⺠謡 作曲:福岡県⺠謡 アレンジ:MIKAGE PROJECT
M4 阿波踴る〜渦と成り〜(徳島県民謡) 作詞:徳島県⺠謡 作曲:徳島県⺠謡 アレンジ:MIKAGE PROJECT
M5 秩父音頭(埼玉県民謡) 作詞:埼玉県⺠謡 作曲:埼玉県⺠謡 アレンジ:MIKAGE PROJECT
MIKAGE RECORDS MKG-003 2,200円(税込)

 

INFORMATION

「MIKAGE PROJECT “壮途” TOUR 2023」


日程:2023年7⽉14⽇(金)
会場:愛知・名古屋SPADE BOX
ゲスト:⺠謡歌⼿・剣持雄介(愛知県名古屋市出⾝)
時間:open 18:30 / start 19:00
料金:4,000円(税込・ドリンク代別途・整理番号有)
学割(中学⽣以下)2,000円(税込・ドリンク代別途・整理番号有)
問合せ:SPADE BOX 052-212-9028

日程:2023年7⽉15⽇(土)
会場:⻑野・⽵⾵堂⼤⾨ホール
ゲスト:⺠謡歌⼿・⼭本泉(⻑野県松本市出⾝)
時間:open 13:30 / start 14:00
料金:4,000円(税込・整理番号有)
学割(中学⽣以下)2,000円(税込・整理番号有)
問合せ:ALIVEコンサート事務局 info@alive-japan.com

※3才未満保護者膝上に限り⼊場無料。席が必要な場合有料。
※⼀般発売⽇よりチケット発券開始。

 

CHECK!!

MIKAGE PROJECTオフィシャルサイト
MIKAGE PROJECT 公式Twitter
MIKAGE PROJECT 公式instagram
MIKAGE PROJECT 公式YouTubeチャンネル
佐藤公基オフィシャルサイト
浅野祥オフィシャルサイト
本間貴士オフィシャルサイト


 

(取材・文/夏見幸恵、写真/カラフル編集部)

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