【Colorful Interview】三丘翔太 目指せ、“ザ・令和の懐メロ”! 〜懐かしさと新鮮さを歌声に乗せて〜
三丘翔太が、10月19日に新曲「発車のベルが長すぎる」をリリースする。戦前戦後の歌謡曲を彷彿とさせる懐かしさと切なさにあふれた楽曲。その歌唱力はもちろん、懐メロや流行歌に対するアカデミックな探求姿勢でも人気を集めている三丘にふさわしい勝負曲に仕上がった。カップリング曲「しあわせのうた」は、師匠である水森英夫氏がバンドマンだった時代に歌っていたナンバーをリメイク。昭和歌謡への限りない愛情が生み出したキャラクター「懐メロボーイ」のテーマ曲として、こちらも三丘にぴったりの曲である。令和へ懐メロを歌い継ぎながら、さらに飛躍しようとしている三丘に話を聞いた。
新曲「発車のベルが長すぎる」では、揺れる男ごころを”三丘節”で
新曲「発車のベルが長すぎる」は少し意味深なタイトルですね。“長すぎる”というのはどういう意味なんでしょうか。
三丘 そうですね、これはちょっと変なかんじのタイトルですよね(笑)。主人公は後ろ髪を引かれながらも後戻りはできないとやせ我慢をしている。かっこつけているうちに、早く列車を出してくれ、と。でも、本当は発車してほしくないんです。一度乗ってしまったからには、もう降りることはできない。ここで降りてしまったら、男らしくない…。そういう裏腹な気持ちを表しているんじゃないかなと僕は捉えました。
横に流れる 窓の雨
駅に着くたび 縦になる
(「発車のベルが長すぎる」歌詞より)
情景が鮮やかに目に浮かんでくる歌詞。なるほど!と思いました。
三丘 発車してからずっと窓の外を見ていて、走行中は雨が横に流れていますが停車すると縦になるという、スマホをさわってばかりの現代っ子だったら気がつかない景色ですね(笑)。作詞の岸先生は四国にお住まいで、レコーディングの時は四国から駆けつけてくださいました。新幹線の窓から見える横に降る雨、走っている時は縦に降る雨の様子が忘れられなくて詞にされたとおっしゃっていました。そういう当たり前のような情景を、あらためて言葉にするのは難しいですよね。プロのお仕事を感じます。
そして、今回はまさに”三丘節”というような、これまでの演歌を歌う三丘さんとは歌い方がまったく違うなという印象でした。
三丘 “あれ、なんでこんな歌い方なんだろう”と思われたかもしれませんね(笑)。僕的には“懐メロ感”を出して歌っています。昨年末に『新・BS日本のうた』に“懐メロボーイ”というキャラクターで出演させていただきました。それが好評をいただきまた出演させていただけることになって、その収録に向けてのレッスンと、この曲のレッスンが同じ時期だったので、どうしても懐メロが入っちゃったんですよね(笑)。そうしたら、水森先生から「それいいじゃないか。懐メロのかんじで全部歌ってみたら」と言われて。最初はムード歌謡っぽく歌っていたんですけれどこんなかんじになりました!
これまでの三丘さんのオリジナルにはないかんじですね。
三丘 はい。三連のリズム自体が初めてですし、いままではコブシを使うような演歌が多かったので、ずっと朗々とコブシをいれずに歌っていることがすごく新鮮です。最近の歌謡曲にはない発声方法で、昭和の初期とか戦前の…バシッと直立して歌うような、硬派な演歌歌謡ですね。メロディーラインがシンプルで、同じメロディーが繰り返されるところがあるので、歌い方に結構な度量が求められます。そこは難しかったですが、聴いている人から「そういえば、三浦洸一にこういう歌あったよね」とか「これ若原一郎だよ」と錯覚してもらえたらなんて思いながら歌っています。目指せ、“ザ・令和の懐メロ”です(笑)!
MV(ミュージックビデオ)も観させていただきましたが、素晴らしいロケーションですね!
三丘 撮影を行なったのは、小湊鉄道という千葉の市原市にあるローカル線の駅です。電車の色が味わい深くて、鉄道ファンの方はすぐ小湊鉄道だとわかるみたいですね。昭和の匂いがするというのか、こういうところがまだ日本に残っていたのかと思えるような風景でした。秋の衣装を着て涼しい顔をしていますが、9月初旬のめちゃくちゃ暑い日に撮影に行きまして…(笑)。合成写真でもありません。歌詞の情景が思い浮んでくるような、よい作品になったと思います。
僕のテーマはやはり“懐メロ”。もっと届けていきたい
カップリングの「しあわせのうた」はいまの三丘さんにぴったり。まるで三丘さんのために書かれたような作品ですね。
三丘 ”懐メロボーイ”のテーマソングになる曲をということで、水森先生がかつて…19歳のころに作ってずっと歌っていた楽曲をいただきました。水森先生は当時バンドマンで、横浜のビアホールのテーマソングとして作られたらしいです。お客さんが盛り上がって、みんながノリノリで歌ってくれたことがずっと記憶に残っていたそうで、歌詞もお店の名前が入っていたところを少し岸先生が補作してくださって。あとは当時のままなんです。前作の「よこはま埠頭」は水森先生が45年前に作られた曲でしたが、今回はさらに前の時代からの掘り出し物(笑)。古さはまったく感じられなくて、普遍的なメロディーです。
水森先生の大切にされているいろいろな作品をいただくのは、さすが秘蔵っ子ならではですね。過去の作品を生き返られせるのはすごいことだと思います。
三丘 ありがとうございます。僕はど演歌よりも流行歌路線なんだろうなと、デビューの頃から…いえ、デビュー前からでしょうかね、そう思っていました。演歌ももちろん大好きですけど、演歌歌謡の源流は流行歌にあります。そこを勉強すると、より演歌歌謡の魅力がわかるのかなと思います。これまでも青木光一さんのような昭和30年代の歌もステージで歌わせていただいていましたが、皆さんご存知でしょうか? 皆さんのお父さんやお母さんが好きだった大昔の歌謡曲は、一周、二周どころか三周も四周もまわってもなお魅力がある名曲ばかりなんですよ!
いまの若手歌手の中で、この当時の歌を歌われている人はなかなかいないのではないでしょうか。
三丘 昭和30年代の三橋美智也さんや春日八郎さんの楽曲などは、民謡出身の演歌歌手の皆さんがカバーされていますよね。けれどもそれ以前のディック・ミネさん、藤山一郎さん、戦前の岡晴夫さんの歌などはあまり歌われていないので、“懐メロボーイ”として僕が歌わせていただけるのは光栄だなと思っています。素朴で朗らかな歌も多いのでご家族で楽しめる楽曲も多いと思いますし、これからもっといろいろなところで歌っていきたいですね。
これからの三丘さんの活躍がとても楽しみです! 最後に、カラフル読者の皆さんへひと言メッセージをお願いします。
三丘 これからの僕の大きなテーマは、やはり“懐メロ”です。とにかく名曲がたくさんあるので、僕をきっかけにといったらおこがましいですが、素晴らしい楽曲を皆さんにもっと聴いていただきたいですね。懐かしんでいただくと同時に、令和の懐メロとして僕の歌唱で新鮮さも感じていただけたらうれしいですね。新曲「発車のベルが長すぎる」、タイトルも少し長いので「発ベル」となりました(笑)。これまでの作品とは少し趣の違う曲ですので、ぜひ聴き比べていただいて楽しんでもらえたらと思います。
演歌界の枝豆王子…三丘さん、相変わらず枝豆がお好きなようですね⁈
三丘 今年の夏も、枝豆をいっぱい食べましたねぇ…。 “演歌界の枝豆王子”だなんて、僕はそれほどのものではありませんが(笑)。昨年、YouTubeの生配信中にファンの方から「ブランド枝豆というものがあるよ」とコメントで教えていただきました。そうしたらそれと同じころ、その枝豆を生産者の方からも「「こういう枝豆があるので食べていただけませんか」と連絡が来たんです! 本当に偶然、ほぼ同じタイミング。福岡県嘉麻市で作られている「嘉麻ひすい大豆」という、10月に収穫する遅めの品種です。たった4日間だけしか収穫期間がない高級な枝豆で、あらかじめ予約注文しておくと根付き枝付きの生枝豆が箱で届きます。それは収穫してから4日以内の新鮮なうちに食べなければならないんです。茹でるとすごくおししいですが、炒めてもおいしいと思います。ぜひお試しを!枝豆はもちろん栄養も豊富ですから、皆さんもいっぱい食べてくださいね〜!
(取材・文/夏見幸恵)
NEW RELEASE!!
2022年10月19日発売
三丘翔太「発車のベルが長すぎる」
「発車のベルが長すぎる」
作詞:岸快生 作曲:水森英夫 編曲:竹内弘一
c/w「しあわせのうた」
作詞:水森英夫 補作詞:岸快生 作曲:水森英夫 編曲:竹内弘一
テイチクエンタテインメント TECA-22061 1,400円(税込)
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