【Colorful Interview】カッコいい山本譲二が全開!チョイ悪男の渋さが光る〜新曲「みちのく忘れ雪」〜
来年デビュー50周年を迎える山本譲二が9月20日、新曲「みちのく忘れ雪」を発売した。作詞を田久保真見氏、作曲を弦哲也氏が手がけた、男らしくてカッコいい譲二節が存分に発揮された本格的な演歌作品だ。幸せ夫婦演歌のイメージの強い山本が歌う“ちょっとズルくて悪い男”は、ファンの心を揺さぶること間違いなし。山本自身も“自分の代表曲にしたい”と語るほどピッタリとハマった新曲のこと、山本を慕う後輩のこと、最愛の孫のことなどを飾らない言葉で話してくれた。
女性がぐっすり眠ってる間に出て行く男、チョイ悪ですよね(笑)
山本譲二さんといったら「みちのくひとり旅」を真っ先に思い浮かべる方が多いと思います。新曲もタイトルに“みちのく”がつく楽曲ですね。
山本 タイトルに“みちのく”がつくのは2回目でね。“ああ、これはいいなあ”と思いました。意図とか狙いのようなものは、自分の中にはないですよ。たまたま届いた詞が「みちのく忘れ雪」というタイトルだった。でもデビュー50周年を迎える一歩手前で、良い詞と良い曲をいただけたなと思います。田久保先生も弦先生も、それはすごく意識して作ってくださったようですね。
“今作はチョイ悪男の渋さが光ります!”と、いただいた資料に書いてありますが、ご自身ではどう思われますか?
山本 いや、女性がぐっすり眠っている間に、ひとりで出ていく男ってどうなのよ?ズルいんじゃねえの?と思うフシはあるわけ(笑)。でも、主人公もその罪深さを感じている。“俺じゃ、ダメなんだ。俺がいたら幸せになれないんだ”という思いもあるんでしょうね。いい加減で無責任だし、チョイ悪ですよ(笑)。でも“お前を幸せにしてやれなかった。守ってやれなかった。本当にゴメンな”という思いは、僕も何回かしたことがあるからわかるような気がします。外に出れば、しんしんと雪が降っていてね。この“しんしんと”とに、弦先生がすごくいいメロディーをつけてくださったんですよ。本当にありがとうございましたという気持ちですね。
噛み締めるように“しんしんと”と歌っていらっしゃって、主人公の悲しみや切なさが伝わってくるようですね。
山本 ドカ雪よりも静かに降る雪が好きなので、そういう詞が来てうれしかったね。でも、じつはレコーディングでどう歌ったらいいかわからないままスタジオに入ったんですよ。しんしんと降るようなメロディーがついていましたから、そのまま素直に歌ったら、“よし、譲二、OK!いいよ”と言っていただけて、ホッとしました。もっと声を張らなきゃいけないのかなとか思ったんですけど、“しんしんと”ですから。がなってはいけないし、デカい声を出す必要もないですよね。うちの女房なんかは、「さらっと歌っているから、そこがいいよね」と言ってくれました。
今年の夏は例年以上に暑かったですが、真夏に冬の歌をレコーディングするというのはいかがでしたか?
山本 季節感はまったく感じなかったですよ。スタジオに入ってからは集中しますからね。でも、クソ暑いときに荒川の土手まで行って、コートまで着込んでMV撮影をしましてね(笑)。監督に“譲二さん、寒そうに歩いてください”と言われても、暑かったですよ(笑)。撮り終わってから“監督、どうでしたか?”と聞いたら、“いやあ、寒そうでしたよ”と言われたので、良かったなと思いました(笑)。コートの下はスーツですし、マフラーなんか巻いちゃってね。ものすごく暑かったけど、襟元をかき合わせて肩をすくめてね。監督は僕が早く終わるのが好きだって知っていますから、1回のテイクで撮り終えてくれました。汗もかかないうちにね。
※「本当に冬のように撮れています。見事でしたよ!」(同席したスタッフ談)
▲「みちのく忘れ雪」MV
男と女は離れちゃうとダメになる
カップリング「浮草ふたり」は、反対に男性が振られる歌ですね。もしかしたら、女性も断腸の思いで駅に来なかったのかも知れませんが…。
山本 久しぶりに会ってみたら、まだあいつに惚れていた。幸せだったらいいけど、隠れて泣いて生活しているようだったら、俺と一緒に行こうよと。でも結局は連れて行けなかった、始発の駅で待っていてもあいつも来なかったという詞ですね。あいつはあいつなりに幸せなのかもしれないし、いまの場所で頑張りたいと思っているのかもしれない。でもあいつがいてくれたら、俺は生きられる。花も咲かない人生かもしれないけれど、あいつがいれば俺は楽しいのになと。
ロマンチストな男性とは反対に、女性は現実的なのかもしれませんね。
山本 そう。この男は、ちょっと夢を見ているんですよね。たいていは“花を咲かそう”という詞じゃないですか。でもこれは、“咲かない”なんです。根なし宿なしで、花は咲かないとはっきりわかっている。それでもあいつさえいてくれたら生きていけると夢見る、切ない男心。なかなかいい詞だと思いましたよ。
山本さんご自身もそんなご経験が……?
山本 ”おまえがいてくれたら強く生きられる”と思ったことが、僕も20代のころにありました。高校2年生の時に、初めて女の人を好きになってね。彼女と付き合って、高校を卒業してから何カ月かは故郷の下関にいたんですけどね。僕は会社を辞めて夜行列車に飛び乗って、東京に出てきたわけですよ。そのときに、“待っててくれよ。いっぱしの男になって帰ってくるけえ”と言ったのに、僕を待たずに嫁に行っちゃった。“譲二、ショーック!”でしたよ。僕は東京で遊んだりするのが楽しくて、たしかに一時忘れたこともありましたけど(笑)。ふと振り返ると、やっぱりものすごく好きだったんですよね。好きになったら、そばにいないとダメなんですよ。男と女は離れちゃうとダメになると、そのとき悟りました。バカヤロウ!なんで待っててくれなかったんだ(笑)。
「みちのく忘れ雪」を代表曲に
以前、同じテイチクに所属されている東京力車さんを取材したとき、山本さんから“フンドシ”を受け継いだとおっしゃっていました。
山本 いいヤツらでねえ。元気がいいし、力いっぱい働いているからね。“山本家に代々続くフンドシがある。継承してくれるか?”と聞いたら、“はいっ!”と。ああいう人たちと時々一緒になって何かをするってとってもいいですよ。僕がどこかに置いてきてしまったものを持っていますよね。情熱とか、外連味(けれんみ)のなさとかね。僕みたいになっちゃうと失敗しちゃマズいと思って、どんどんプレッシャーになってくるわけです。昔はそんなことなかったし、緊張したこともなかったのに。かえっていまのほうが緊張したりして、それを見せないように歌っているんです。若い人たちの”失敗してもOK!やってみよう”という姿勢はいいなと思っています。
ブログに時々登場するお孫さんの“雅也くん”は、おじいちゃんの新曲について何かおっしゃっていますか?
山本 孫はいま6歳、小学校一年生になりました。ジイジの新曲を聴かせても“しんしんはもういいからさ、やめてくれる?”と言われますよ! それで“ジイジ、『炎』の歌、知ってる?歌ってよ”と言われたから、俺は冠二郎さんの「炎」を歌って聴かせましたよ。そしたら“違う! 何その歌?ヒカキンの炎(HIKAKIN&SEIKIN『FIRE』)だよ”。そんなこと言われても、知らねえよ(笑)。
すみません、面白いです…(笑)!
山本 その子がね、いま自転車の練習をしているらしいんですよ。その理由を娘に聞いたら、“自転車で、ひとりでジイジの家に行きたい”。そのために一生懸命練習しているんだから、なんて聞かされたら、自転車5台くらい買ってやりたいと思った。愛しくてたまらないですね。でも、孫に“しんしんはもうやめて”と言われても、「みちのく忘れ雪」は自分の代表曲にしたい。そのくらいの気持ちを持って、これから歌っていきたいと思います。ぜひ聴いてください。
山本さん、オフィシャルブログの“ジョージのコトバ”(※)が好評だそうですね!
カラフルにもひとつ“ジョージのコトバ”をいただけませんか?
【ジョージのコトバ#カラフル】
いつも いつも男が 悪いのさ
■解説
きっと、悪いのはいつも男の方なんですよ。男はいつも、反省しながら生きているんですよ。でも先に“悪いのさ”と言っちゃえば、女性は責められない。コロシ文句なのじゃ。
※ジョージのコトバとは、毎月2日・22日を“ジョージの日”と勝手に制定。オフィシャルブログ上にアップしている山本譲二の人となりを紐解く手がかりとなる短い言葉(毎月2日と22日のAM2:00に“ジョージのコトバ”としてアップされている。注目!!)
NEW RELEASE!!
2023年9月20日発売
山本譲二「みちのく忘れ雪」
「みちのく忘れ雪」
作詞:田久保真見 作曲:弦哲也 編曲:猪股義周
c/w「浮草ふたり」
作詞:田久保真見 作曲:弦哲也 編曲:猪股義周
テイチクエンタテインメント TECA-23058 1,400円(税込)
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