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【Colorful Interview】吉永加世子が歌い継ぐ、師匠・吉幾三の女唄〜新曲「サヨナラTokyo」〜

吉永加世子が6月1日、「サヨナラTokyo」をリリースした。師匠である吉幾三が34年前にテレサ・テンのために書き下ろし、渡せないままとなっていた未発表曲。古き良き昭和の匂いを漂わせながらも、時代を経ても色あせない新鮮さが感じられる作品に、吉永が新しい命を吹き込んだ。カップリング曲の「あなたが足りない」は、吉幾三のアルバム収録曲のカバー。どちらも師・吉幾三の作った女唄を伝承する歌手・吉永加世子の自信作に仕上がっている。リリースからひと月経った今、改めて白熱したレコーディング時のことを振り返ってもらった。

 

「どうしても、この曲が歌いたかった」

 

今回吉永さんの新曲としてリリースされた「サヨナラTokyo」は、テレサ・テンさんのために作られた楽曲だそうですね。30年以上も寝かせていたこの曲をいま歌うことになったのはどうしてでしょうか?

吉永 「サヨナラTokyo」は、数年前に聴いて”いい曲だな”と強いインパクトがあり心に残っていた曲です。今回は最初、吉先生が「加世子、もう一曲ラテン調でいくか」っておっしゃって。前作「燃えつきて」のような曲調で、デモを3曲も用意してくださっていました。それなのに、私はたまたまこの曲を久しぶりに耳にしたら、どうしても歌いたくなってしまった。古き良き昭和の香りがふわっと漂う歌謡曲で、そこが逆に新鮮に感じられるから、いまの時代のニーズに合っていると思ったんですよね。ラテン調の曲をメインに、こちらをカップリングにしてという話が進んでいたのに…。そんなタイミングで先生に「この曲を歌いたいんですけど」と言い出すのは、すごく勇気が必要でした。

それは聞いているだけでもドキドキしますね。吉先生はすんなりOKしてくださいましたか?

吉永 先生は「おまえ、よくこの曲を知ってたな」と驚いたようです。そして、「そうか、歌いたいのか。これはテレサ・テンさんに歌ってもらいたくて書いた曲でさ。でも渡すことができなくて、そのままずっと眠っていたんだよ」と明かしてくれました。それを聞いて私は、なおさら“歌いたい!”という思いが強くなってしまいましたね。先生も「いいよ。おまえが歌ってくれるなら、この作品も喜ぶかもしれないな」と快く承諾してくださった。いまの私が「サヨナラTokyo」を歌わせていただくことには深い意味がある気がして、承諾していただけてよかったと思います。

“歌わせていただくことに深い意味がある”というのは、どういうことでしょうか。

吉永 先生が「これはテレサ・テンさんのために」と誰にも歌わせていなかった曲を、私が見つけて引っ張り出しちゃった。それを先生が「加世子が歌ってくれるなら」と喜んでくれたことが、涙が出そうになるくらいうれしかったんです。このノリのままでもうちょっと言っちゃえと思って(笑)、「先生、もうひとついいですか?先生の隠れた名曲や素晴らしい未発表曲を、これからもずっと歌わせていただきたいです」とお願いしました。そうしたら「わかった。俺は女唄が多いから、全部おまえが伝承していけ。これからの世代に、加世子が歌いつないでくれ」と言って、劇場の楽屋で先生が「こう書け」と直筆で書いてくれたんですよ。

“伝承”
吉幾三の女唄…
吉幾三完全プロデュース
師・吉幾三の作った「女唄」を
歌い繋いで行く“吉永加世子”

文中に“吉幾三”が3回も出てくるのがすごいです(笑)。こうして“吉幾三の女唄を歌い継いで行く吉永加世子”が誕生することになったんですね。

吉永 “吉幾三”が3回(笑)。でも、そういう言葉をいただけたことがいい意味での大きなプレッシャーになったし、そこに歌手としてまた先生の弟子としての使命があるのだなとわかりました。カップリング曲も“伝承”させていただこうと、「先生が歌われている女唄のカバーを入れさせてほしいです」とお願いして、先生のアルバムに入っている女唄5曲くらいの候補の中から「あなたが足りない」に決まりました。先生の弟子として、気持ちも新たに頑張っていこうという思いが大きくなりましたね。

「サヨナラTokyo」のレコーディングの様子をYouTubeで拝見しました。吉先生は、とても厳しいですね。

吉永 厳しいですよね…。今回は、とくに厳しかったです。吉先生は毎回、必ずレコーディングに来てくれますが、あんなに怒られたことはなかったです。この曲には、きっと特別な思い入れがあるのでしょうね。でも先生の場合、「それは違う!」「音が違う」とガンガン怒った後、後ろを向いてこっそり笑っていたりするような愛情がある。だから怒られて怖くないわけではないけれど、「期待に応えなきゃ」とより集中できるようになりますね。先生の言葉に背中を押される…というよりは、バシッと叩かれるような思いでレコーディングさせていただきました。厳しくても楽しかったです。「早く終わらせて、飲みに行くぞ!」なんて、ご自分が早く飲みに行きたいだけなんですよ(笑)。本当に素敵な師匠です。

レコーディング時に吉幾三先生と。


レコーディングをしてみて、ご自身ではいかがでしたか?

吉永 コブシとか難しいテクニックは使うわけではないのに、テンポ良く歌うのが私には難しかったですね。出だしの“想い出は消さないで”のところが、テレサ・テンさんに作っていたメロディーとほんの少しだけ変わったんです。私は前のままで覚えてしまっていたので、「違うだろ!」と怒られて。そこのメロディーはテンポがあるので、言葉をポンポンと軽く置いていくようにと先生から言われました。「テレビじゃないんだから、テロップが出なくても歌詞がわかるようにしないと届かないだろ。ちゃんと言葉を音符の上に置いて、伝わるようにしてくれたらいいからな」って。あとは、音程に厳しい先生なので「そこだけはちゃんとやってくれな」といつも言われます。

吉永さん、そして吉先生の思いも込められた作品。これからたくさんの方々に聴いていただきたいですね。最後に、カラフル読者の皆さんにメッセージをお願いします。

吉永 6月1日に発売になった「サヨナラTokyo」、そしてカップリング曲の「あなたが足りない」は、どちらも女心を忠実に描いた作品です。「サヨナラTokyo」は切ない寂しさもありますが、芯の強い前向きな女性の歌だと思います。「あなたが足りない」の中に出てくる“いつもそばで一緒だった”という歌詞は、恋愛だけじゃなくて家族愛だったり、いつも当たり前にいた人との急な別れの気持ちも表している曲じゃないかなと思います。皆さんの思いでたくさん聴いて、たくさん歌ってくださいね。これまではコロナ禍でなかなか思うような活動ができませんでしたが、新曲は全国いろいろなところで歌いたいです。“サヨナラ”という言葉は寂しいかんじもしますが、私はまた会う約束の言葉として使いたい。たくさんの皆さんにお会いできるときを楽しみにしています!

 

🌈アフタートーク🌈

加世子さん、実生活でも“サヨナラTokyo”したって本当ですか⁈

吉永 そうなんですよ…。新曲が決まってから、先生に「おまえは『サヨナラTokyo』を歌うんだから東京にいちゃダメだ。千葉はおまえの地元だろ、そんな近いところじゃないんだよ。すぐに帰ってこられない鳥取、島根、北海道、仙台なんかに引越して、そこでCDを売ってこい」と言われるようになりまして(笑)。初めは冗談だと思っていましたが、会うたびに「引越し決めたか」と聞かれるので、レコーディング直後くらいに本当に引っ越しました。すごく気に入って15年間も住んでいた部屋だから、出たくなくて出たくなくて。
これはもう“願掛け”です。そこまで自分を追い込んで、新曲に勝負を賭けなくちゃ。
引越し先は、歩いて10分くらいのところ(笑)。でも駅が一駅違えば、気持ちは全然違ってすごく新鮮ですよ。
先生はさんざん引越ししろと言っていたくせに、いざ「引っ越ししました」と報告したら、「えっ、本当に引っ越ししたのか」って言ったんですよ! 私が「歩いて10分のところです」と言ったら「バカか、おまえはって…(笑)。

 

【PROFILE】吉永加世子(よしながかよこ) 1月9日、千葉県成田市生まれ。1987年に作曲家・弦哲也氏に師事、歌のレッスンを始める。1994年「涙の浜千鳥」でデビュー(小林加世子名義)。2008年、師匠である吉幾三のプロデュースで「永遠に愛して」をリリース(吉永加世子に改名)。2017年から吉幾三のコンサートツアーや劇場公演に出演。2020年にリリースした両A面シングル「燃えつきて/明日にワインを」では、実兄であるゆうたろうとのデュエットが話題となる。好きな食べ物は麺類(しじみラーメン)・卵料理、特技は少林寺拳法(二段)・フラダンス。公式YouTube「かよちゃんネル」がファンに大好評。随時新しい動画が公開中なので要チェック! 7月20日にリリースされる吉幾三トリビュートアルバム『幾三フェスティバル』に参加。吉の名曲「海峡」を歌唱している。

(取材・文/夏見幸恵)

 

NEW RELEASE!!

2022年6月1日発売
吉永加世子「サヨナラTokyo」

「サヨナラTokyo」
作詞・作曲:吉幾三 編曲:京建輔
c/w「あなたが足りない」
作詞・作曲:吉幾三 編曲:野村豊
徳間ジャパンコミュニケーションズ TKCA-91427 1,350円(税込)

 

CHECK!!

芸能生活50周年『吉幾三特別公演』に出演!

日程:2022年7⽉8⽇(金)〜24日(日)
会場:東京・明治座(東京都中央区日本橋浜町2-31-1)

開演時間:12:00 / 16:30
料金:S席(1・2階席)12,000円 A席(3階席)6,000円(ともに税込)
お問い合わせ:03-3666-6666(明治座チケットセンター 10:00~17:00)

吉永加世子 SUMMER LIVE2022

日程:2022年8⽉19日(金)
会場:東京・BIRDLAND(東京都港区六本木3-13-14ゴトウビル3rd 5F)

時間:open 18:15 / start 19:00
料金:6,000円(ワンドリンク&おみやげ付)
お問い合わせ:info@ys-ag.com(y’s agency)

吉永加世子オフィシャルサイト
吉永加世子公式Twitter
吉永加世子Instagram
吉永加世子公式YouTubeチャンネル「かよちゃんネル」


▶︎吉永加世子が花園神社で新曲「サヨナラTokyo」のヒット祈願を行い決意。「新たな気持ちで頑張りたい」

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