【ライブレポート 】MIKAGE PROJECT 〜2nd EP『NEO BUSHI』リリース記念LIVE〜
民謡再編成プロジェクト・MIKAGE PROJECTが、5月25日にリリースした2nd EP『NEO BUSHI』を引っさげて、5月28日に東京・浅草の花劇場でリリース記念ライブを開催した。
”民謡を温め直し、新たな民謡を作り上げていく”。2020年の結成以来、オリジナリティーにあふれたヴィヴィッドな民謡を次々を発表する若さと実力を兼ね備えた民謡界の新星、尺八奏者・佐藤公基、津軽三味線奏者・浅野祥、箏奏者・本間貴士は、その誇り高き志を胸にこの日もステージから観客を音楽の旅へ誘った。
和楽器の精鋭たちと進む、新たな音楽の旅。
ステージの中央に掲げられた「MIKAGE PROJECT」のバックドロップを見つめながら、観客は固唾を飲んでステージを見守っていた。
サポートメンバーに迎えたベース・カワサキ亮、鳴り物・美鵬直三朗とともに、MIKAGE PROJECTのメンバーがひとりずつ定位置につく。宮城県民謡「秋の山唄」で口火を切ると、日本最古の民謡といわれる富山県の「筑子(こきりこ)節」、九州の「炭坑節」と世代問わず馴染みのあるはずの民謡が、斬新なアレンジとともに耳に流れ込んできた。この時点ですでに、客席では誰もが体でリズムを刻み、彼らの誘う旅に出ていた。
「本日は2nd EP『NEO BUSHI』リリース記念ライブにお越しいただきありがとうございます。『NEO BUSHI』に収録されている曲はもちろんのこと、新曲もあります。短い時間ではございますが、最後まで盛り上がっていきましょう! 皆さんは”ジャパニーズラップ”と聞いて印象的な曲はありますか? 次はそんな日本のラップが入っている民謡をお届けします」(リーダー・佐藤公基)
民謡とは主に人から人へ口承で歌い継がれたきたものだが、中には和楽器の伴奏に乗せてまるでラップのように言葉を発していく歌があり、その”元祖・日本語ラップ”といわれているものが「秋田音頭」である。
今回リリースされた『NEO BUSHI』に収録されている「秋田音頭」、そして「秋田節」をベースにしたMIKAGE流の「まんず秋田」、山形県の夏の風物詩・花笠まつりのために作られた「花笠音頭」を佐藤と浅野がリズミカルに、味わい深く歌い上げると、その地を訪れているかのような温もりが会場を包み込み、ふっと会場の空気が緩んだ気がした。
つづいて、民謡についてメンバーがわかりやすく紹介していく民謡コーナーへ。民謡は口承での文化のため作者不明のものが多いが、当時は尺八、太鼓、三味線、鳴り物などの楽器で伴奏されたものではなく、”素唄”と呼ばれ手拍子だけで歌われていたという。
「歌はあまり得意じゃないんですよね…」(佐藤)
「ちょっと待ってよ、コンクールで優勝したんでしょう⁈」(浅野)
「子どもの時ね。大人になってからは準優勝しました。高校大会で、3人中2位でした…。でも一応準優勝です!(笑)」(佐藤)
佐藤のユーモラスな話術に、感染防止対策のため歓声や笑い声をあげることもできない観客も、私と同じようにマスクをつけたまま笑顔をこぼしていたに違いない。美鵬の躍動感あふれる太鼓と客席の手拍子に合わせ、佐藤と浅野は素唄、歌声だけで豪快な漁師唄を「ヤードット」「ヨーイトナ」のかけ声も威勢良く聴かせた。
その後は、曲の途中で拍手をする流れや歌い手を盛り上げるかけ声の”お囃子”をレクチャー。しかしこのご時世で客席で声を出すことは難しく、足踏みと手拍子で観客に体を使いお囃子を表現してもらうことになった。
楽曲は、浅野が作曲を手がけたMIKAGE PROJECTのオリジナル曲「NEW JOURNEY」。雄大な自然の中を爽やかに吹き抜ける風のような佐藤の尺八と篠笛が終始印象的だった。この曲を聴いているといつも、今いるところが日本でもあり、また日本ではないような錯覚を覚える。その名の通り、経験したことのない”新たな旅”に導かれているようだ。
続いて披露した山形県民謡の「最上川舟唄」をベースにMIKAGE流にアレンジされた「船道(せんどう)」では、本間の箏の音色が最上川の清らかな流れを、浅野の突き抜ける高音の素晴らしい歌声がまっすぐに進む船、力強い船頭たちの姿を想起させた。
古き良き”日本”を全身で感じるひと時
ライブも終盤にさしかかり、ここからはバラエティーに富んだ新曲が次々に登場した。「船道」のしっとりとした情緒あるムードから一転、にぎやかな太鼓から始まった岩手県の新民謡「チャグチャグ馬コ」では、アップテンポなリズムに「チャーグ、チャーグ」のフレーズと「ラ〜ララ、ラ〜ララ」のコーラスがキャッチーで、会場はひときわ盛り上がりを見せた。
「ちょっと体力が…。二人は歌いながら吹いたり演奏しているから呼吸が乱れても仕方ないですけど、僕は箏を弾いているだけなのに(呼吸が乱れている)。今の曲で自分があんなに動くとは思ってなかった(笑)。でも楽しかったぁ」(本間)
ムードメーカーでもある本間のトークに、会場は一瞬にして和やかな雰囲気に包まれた。
ひと息ついたところで、今年2月に配信リリースされた、福島県民謡の中で最も古いとされている「神長老林(かんちょろりん)節」を厳かで丁寧な演奏で披露すると、続く『NEO BUSHI』の1曲目を飾る「相馬盆唄」でライブはあっという間にエンディングを迎えた。
この曲は、”民謡、盆踊り唄とは思えない”のひと言。軽快でのびやかな浅野の歌声が、奥行きのある哀愁を帯びたメロディーに乗り新鮮な驚きを届けてくれた。
演奏が終わりステージを後にしたメンバーたち。しかし、大きな手拍子が3人を熱く呼び戻す。
「アンコールをいただき誠にありがとうございます。6月は上半期最後の月。6月が終わったら2022年の後半が始まりますね。(浅野)祥さんが年始に”紅白を狙います!”と宣言されましたけど、頑張りましょう。行けるところまで行ってみましょう! そんな年が来るようにと願いを込めまして、アンコールは宮城県の民謡『豊年こいこい節』を皆さんにお届けしたいと思います。我々MIKAGE PROJECT、そしてお越しの皆様が豊かな年になりますように思いを込めまして、『豊年こいこい節』です!ありがとうございました!!」(佐藤)
「豊年万作 サッサト コイ コイ!」
佐藤の尺八、浅野の三味線、本間の箏、ベース、鳴り物の音色、そして観客の手拍子とが一体となり大きなうねりとなった。古き良き”日本”を全身で感じる至福のひと時、新たな音楽の旅はこうして幕を閉じた。
NEW RELEASE!!
2022年5月25日発売
MIKAGE PROJECT『NEO BUSHI』
【収録曲】
M1 相馬盆唄(福島県⺠謡) 作詞:福島県⺠謡 作曲:福島県⺠謡 アレンジ:MIKAGE PROJECT
M2 まんず秋田(秋田県⺠謡) 作詞:秋田県⺠謡 作曲:秋田県⺠謡 アレンジ:MIKAGE PROJECT
M3 花笠音頭(山形県⺠謡) 作詞:山形県⺠謡 作曲:山形県⺠謡 アレンジ:MIKAGE PROJECT
M4 豊年こいこい節(宮城県⺠謡) 作詞:宮城県⺠謡 作曲:宮城県⺠謡 アレンジ:MIKAGE PROJECT
M5 神⻑老林節(福島県⺠謡) 作詞:福島県⺠謡 作曲:福島県⺠謡 アレンジ:MIKAGE PROJECT
M6 相馬盆唄inst 作曲:福島県⺠謡 アレンジ:MIKAGE PROJECT
MIKAGE PROJECT OFFICIAL ONLINE SHOPにて販売中!
https://mikagegoods.official.ec
2022年4月22日発売
MIKAGE PROJECT「豊年こいこい節」
「豊年こいこい節」
作詞・作曲:宮城県民謡 アレンジ:MIKAGE PROJECT
「豊年こいこい節」配信ページ(各社)
https://linkco.re/7ycCr87Y
CHECK!!
「MIKAGE PROJECT “壮途” TOUR 2022」
①日程:2022年6⽉18⽇(土)
会場:宮城・仙台誰も知らない劇場(宮城県仙台市⻘葉区中央2丁⽬5−10 桜井薬局ビル3F)
ゲスト:和太鼓奏者 三浦公規(宮城県大崎市出身)
時間:open 13:30 / start 14:00
料金:4,000円(全席指定・税込・ドリンク代別途)
お問い合わせ:EDWARD LIVE 022-266-7555 (平⽇11:00〜13:00)
②日程:2022年6⽉19⽇(⽇)
会場:福島・南相⾺野⾺追通り銘醸館(福島県南相⾺市原町区本町2丁⽬52)
ゲスト:⺠謡歌⼿ 沢⽥藍(福島県南相⾺市出⾝)
時間:open 13:30 / start 14:00
料金:4,000円(自由席・税込)
お問い合わせ:EDWARD LIVE 022-266-7555 (平⽇11:00〜13:00)
チケット取扱:
・ローソン https://l-tike.com/mikageproject/
・ぴあ https://w.pia.jp/t/mikageproject/
・イープラス https://eplus.jp/mikageproject/
MIKAGE PROJECTオフィシャルサイト
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MIKAGE PROJECT 公式instagram
MIKAGE PROJECT 公式YouTubeチャンネル
佐藤公基オフィシャルサイト
浅野祥オフィシャルサイト
本間貴士オフィシャルサイト
▶︎現代の感覚で⺠謡を蘇らせる次世代アーティスト、MIKAGE PROJECTが新曲「神⻑⽼林節」をリリース&MVを公開
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