【COLORful Interview】山口ひろみ 新曲「みちのく 銀山 なみだ雪」〜王道演歌に吹く新しい風〜

山口ひろみが、9月17日に新曲「みちのく 銀山 なみだ雪」をリリースした。前々作・前作に引き続き麻こよみ氏が作詞を担当。作曲には自身にとって12年ぶりとなる弦哲也氏を迎え、山形の風情あふれる銀山温泉を舞台に、湯煙の中、涙とともに消えていく道ならぬ恋の結末を歌う。新曲へのこだわり、そしてこれからへの想いなどじっくりと聞いた。
「ちょっと時間空きすぎじゃない?(笑)」。弦先生と12年ぶりの再タッグ
今回の楽曲は王道演歌の美しさがありながら、イントロからとても新しい感じがしました。
山口 弦(哲也)先生は、打ち合わせの段階からほぼほぼアレンジもイメージが決まっていて、今回も南郷(達也)先生に「こういうふうな感じで」と伝えられていました。でも一カ所だけ、すごくこだわられていたところがあって。それが、一番最初の「ダーン!」と入るところ。最初は違った感じで入っていたんですが、「ここから歌が始まりますよ」と、聴く人を脅かすのではないですが(笑)、そこはどうしても入れてほしいとおっしゃっていました。
まさに、そこが斬新ですよね。
山口 そうなんですよ。実際歌ってみて、本当に印象的でした。
今回の楽曲は弦先生とは12年ぶりにご一緒されたとのことですが、いかがでしたか?
山口 弦先生から「ちょっと時間空きすぎじゃない?」って、カウンターパンチを食らいました(笑)。今回は、弦先生に「王道中の王道でお願いします」とお願いをしました。以前にも手がけていただいていていますので、私のいいところはこんな感じだっていうのをわかってくださっているんですね。音域的にも、いわゆるおいしいところや、師匠の北島三郎先生から教わった節も生かせるように作ってくださいました。だから、とても難しい曲なんですけれど、歌いやすかったです。
レコーディングはいかがでしたか?
山口 レコーディングも、そんなに何回もせずに。というか、私それこそ23年目にして初めて、オケ録りと歌録りを同じ日に行なったんです。本当は、私的にはもうちょっと時間をおいて揉んでやりたかったんですけれど、「もうそれで十分。あまり考えないで、新鮮なものを出そう」ということになりました。なので、すごく素直に歌えていると思います。
高音と低音の切り替えやこぶしなど、メロディー的な特徴のあるところで工夫されたり、ポイントになった部分はありますか?
山口 サビの部分で、「追って行きたい」というところがあるんですが、ここは私が音合わせレッスンのときに裏声で歌ったんです。そうしたら、弦先生がすぐに「それは必ず生かそう」と。あと、「別れ橋」という最後の部分もいろいろな歌い方をしたんですけれど、最終的には弦先生が歌われていた民謡調のこぶし回しも生かしながら、女性なので切なさを出すために裏声で抜いて、最後は民謡調の揺さぶりで落としました。そこのところは私、こだわりましたね。
「みちのく 銀山 なみだ雪」をカラオケで歌われる方へのアドバイスがありましたら教えてください。
山口 ストレートに、素直に! とにかく、皆さんには主人公になったつもりで、歌の世界の中に入って歌っていただければと思います。
c/w曲は自ら依頼! 道の駅ソング誕生秘話
前作の舞台となった北海道・恋問海岸を舞台にしたc/w曲「恋問海岸ラプソディ」も話題になっていますね。こちらはどういう経緯で生まれた楽曲なんですか?
山口 本当にプライベートで、夫と恋問(こいとい)や白糠町に行ったときに、たまたま町長さんや町の皆さんとご飯を食べていたんです。そこで、道の駅の恋問館がリニューアルオープンすることや恋問海岸の話になって。「道の駅(恋問館)のテーマソングを作るなら、演歌・歌謡曲もいいけれど、もう少し来店する子どもたちが親しみやすいような曲がいいね」と、制作することになりました。
作曲は1979年のヒット曲「きみの朝」でも知られる、シンガーソングライターの岸田敏志さんですよね!
山口 はい! その話をディレクターさんに上げたら「表題曲の王道の演歌に対して、ちょっと変化系の方が面白いからやってみる?」と言われ、私、岸田さんも岸田さんの作品も大好きで、以前テレビ番組で半年間ご一緒してからずっと交流があったので、直接お電話したんです。
ご自身が直接お願いされたんですね!
山口 そうなんですよ〜! そうしたら「いいよ」って言ってくださって。岸田さんが演歌歌手に楽曲提供されるのは初めてだそうです。
少し外国の歌みたいな、それでいて昭和の匂いもする曲ですよね。
山口 ちなみに、この曲のモチーフは岸田さんのご家族。そして、編曲されている稲田しんたろうさんは、なんと岸田さんの息子さんなんですよ〜! 道の駅で流れたときに、ふだん演歌・歌謡曲を聴かれる方々だけではなく、違う世代の方々も聴いてくださるようになるかな、と期待しています。楽しみですね。
「私の存在がお役に立てれば…」歌を超えて広がる活動の輪
デビュー23年目を迎えられて、これからも持ち続けたいと思われる山口さんの”軸”みたいなものはありますか?
山口 かっこよく言うと、「人のため」。私自身が歌ですごく励まされてきたので…。親が亡くなって落ち込んだときも、やっぱり歌に救われたんです。だから、私の歌で何かできればいいし、歌というよりも”私で”。私の存在が、何か誰かのお役に立てればいいなと思います。それが、私のためにもなるので。
今後、挑戦してみたいテーマやコラボレーションはありますか?
山口 具体的にいま、本当に動き出しているんですけど、歌と介護予防体操と防災ですね。防災のことで来てくださった方にも歌を届けたいし、歌を聴きに来てくださった方にも防災や体操を知っていただきたい。三本柱で、いろいろな人に垣根なく広げていきたいなと思っています!

【PROFILE】山口ひろみ(やまぐちひろみ) 1975年6月2日、大阪府出身。北島三郎の愛弟子。6年間に亘る内弟子生活ほ経て、2002年「いぶし銀」で歌手デビュー。2017年、宮城県女川町の初代観光大使を拝命。震災復興へも尽力している。2024年、北海道・白糠町『北海道しらぬか応援大使』を拝命。努力家で明るく飾らない人柄と歌唱力で多くのファンに親しまれている。
NEW RELEASE!!
2025年9月17日発売
山口ひろみ「みちのく 銀山 なみだ雪」
「みちのく 銀山 なみだ雪」
作詞:麻こよみ 作曲:弦哲也 編曲:南郷達也
c/w「恋問海岸ラプソディ」
作詞・作曲:岸田敏志 編曲:稲田しんたろう
テイチクエンタテインメント TECA-25048 1,550円(税込)
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