【Colorful Interview】葵かを里 歌手生活20年の集大成 〜記念曲「城端 曳山祭」に感謝を込めて〜
日舞芙蓉流の名取であり、舞いながら歌うという唯一の魅力を放つ艶歌歌手として活躍している葵かを里。今年デビュー20周年を迎え、記念曲として3月6日に「城端 曳山祭(じょうはなひきやままつり)」をリリースした。これまでも、日本全国の歴史や名所などを題材にした情緒豊かな作品を送り出してきた葵。今回は初めて富山県を舞台に、道ならぬ恋の果ての切ない別れを描く。20周年を飾るにふさわしい、重厚な一曲だ。
ファンの皆さんに支えられた20年の道のり
デビュー20周年、おめでとうございます。いまの心境はいかがですか。
葵 デビュー当時はさまざまな紆余曲折がありました。ですが、歌えること、活動できること、オリジナル曲を出せること…それだけで幸せでした。自分のことだけ精いっぱいでやっていた感じだったのですが、いま振り返ってみるととても素晴らしいファンの方々に囲まれて、皆さんが一生懸命私のことを後押ししてきてくれたからこそ、この20年という道のりがあるんだなと、改めて感謝をしながら思っています。
苦労されたことで思い出に残っていることはありますか?
葵 実は、私は苦労を苦労とは思わない、どちらかというと苦労を楽しめるタイプなんです。あのころは、ほぼ休みもなく全国を車で周っていて、車で寝て次の場所へ行って歌うという日々。1200キロ移動したこともあります。でも、それも全然苦じゃなくて、皆さんの前で歌えるだけで幸せで頑張ることができました。
20年もの間、応援して支え続けてくださるファンの皆さん。幸せなことですね。
葵 はい。応援しくださる方たちも20年経って、高齢になられてご病気をされたり残念ながら旅立たれたりする方も…。これからは自分のことは置いておいて、私の歌を”生きがいだよ”と言ってくださる方々に応えられるように、そしてとにかく一日でも長く元気で笑顔でいていただけるように頑張っていきたいと思っています。
6年目に舞いながら歌う艶歌歌手へ。それ以来この道ひとすじ
この20年の中で葵さんの転機となったことはありますか。
葵 それはもう、舞いながら歌う艶歌歌手に切り替えたときですね。デビュー前から日本舞踊(芙蓉流)を習っていて、踊りが好きだったので頑張っているうちに先生から「名前をつけますので名取になってください」と言っていただいて。『芙蓉かを里』の名前をつけていただきました。そこから、せっかく名前もいただいたし歌と踊りを融合させたらどうですか?という話になり、2011年の「桂川」という作品から、私ならではの艶歌を歌ってきました。そこから脇目も振らず、今日までそれひとすじ。ブレることなく頑張っています。
いま流行の”二刀流”歌手のはしりですね!
葵 そうでしょうか(笑)。踊りは古典芸能なので奥が深いんですよ。自分が踊れているなと思っていても全然違う。毎回お稽古では学ぶことがあり、まだまだな〜と思います。歌のことならどうしたらいいかわかるのに、踊りのことだとわからないんですよ。終りなき戦いですね(笑)。
新曲は想像していたとおり。パーフェクト!
新曲「城端 曳山祭」の舞台、今回は富山県ですね。
葵 はい。このお祭りはユネスコ無形文化遺産に指定されていて、毎年5月5日に行われているんです。富山の南砺市城端地区に応援してくださる方がいらっしゃって、以前から”いいお祭りがあるんですよ”と聞いていました。実際に見せていただく機会が昨年5月にありまして、初めて観て、なんて情緒あるお祭りなんだろう!と。普通は山車だけのところが多いんですけど、それに加えて屋台があるんです。
屋台ですか?めずらしいですね。
葵 山車には御神像が乗っていて、屋台には素敵な絹の幕が張られています。その中に笛・太鼓・三味線、端唄を歌う男性が入って、歌って聴かせてくれるんです。本当は格子で、影だけが見えるようだったらしいですよ。丸見えだと粋じゃないと。それに、山車の上に乗る人は、たいがいはっぴに短パンだったりするじゃないですか。このお祭りでは、紋付袴なんですよ。とても優雅で格式を感じましたね。
庵唄は江戸時代の端唄が元になっているとうかがいました。
葵 そうなんです。この地区の先人たちが、江戸から持ち帰った端唄や替え歌などを採り入れて、江戸文化の粋を楽しんだんですね。1番の最後に「誰を泣かすか 庵唄」という歌詞があるのですが、実は私が考えました。麻先生と昨年このお祭りを見て、その瞬間からその節や言葉が頭から離れなくなっちゃったんです。”先生、どうしても離れないのでどこかに入れてください!”とお願いしました。
葵さんの思いが込められたこの曲が完成して、初めて聴かれたときはいかがでしたか?
葵 本当に思っていたとおりでした。一緒に見て体験したすべてのものがあますことなく取り入れていただいて、パーフェクト!現地の方にも聴いていただいたら、「祭りの音まで再現してくれた」と感激してくださいました。2番の「軋む ぎゅう山」というのは、山車が巡行しているとぎゅうぎゅう音がするので、それを歌の中で表現しています。この音がすると、「来た」という躍動感、ワクワク感を毎年感じるんだそうです。主人公は、1番では庵唄、2番ではぎゅう山。その音を聴くと、忘れられないあの人のことを思い出すんですね。
全国の素晴らしい名所や歴史の”伝道師”に
そしてもうひとつ、城端地区の特産品といえば『玉繭』だそうですね。
葵 玉繭は、ひとつの繭の中に二頭の蚕が入って糸を紡ぎます。とても貴重で希少な繭だそうです。この曲は、玉繭を男女に見立てて、二人で玉繭のように寄り添たかった、でも思い叶わず身を引くという切ない曲です。曳山祭と玉繭を融合させてドラマを作っていただきました。この玉繭からできた「しけ絹」で作られた着物で、ジャケット写真を撮りました。そちらも注目していただけたらうれしいです。
今後20周年を記念したご予定は何かありますか?
葵 3月16日に、この城端地区にある南砺市城端伝統芸能会館「じょうはな座」で「城端 曳山祭」発売記念のライブがあります。また、9月1日にはメルパルク名古屋で20周年記念のディナーショーも5年ぶりに開催させていただきます。その他にも新曲CPがたくさんございますので、ぜひ皆さんいらしてくださいね。
ありがとうございました。最後に読者やファンの皆さんにメッセージをお願いします。
葵 「城端 曳山祭」はとても重みのある歌で、20周年にふさわしい素晴らしい作品になりました。20周年を機に、私はさまざまな地域の名所や文化、歴史などの”伝道師”として、日本全国に歌を通して伝えていきたいなと思っています。いまは、このお祭りを全国の皆さんに知っていただけるように頑張りたいと思います。どうぞ応援よろしくお願いします。
NEW RELEASE!!
2024年3月6日発売
葵かを里「城端 曳山祭」
「城端 曳山祭」
作詞:麻こよみ 作曲:影山時則 編曲:竹内弘一
c/w「夫婦滝」
作詞:麻こよみ 作曲:茶野香 編曲:岩田光司
徳間ジャパンコミュニケーションズ TKCA-91551 1,500円(税込)
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