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【Colorful Interview】福田こうへいが歌う「天空の城」〜白雲が立ち込める雄々しい城に男の生きざまを重ねて〜

福田こうへいが4月12日、新曲「天空の城」をリリースする。作詞に初めて荒木とよひさ氏を、作曲に水森英夫氏を迎え、福田の新たな魅力を引き出した作品が誕生した。カップリング曲の「雨の影法師」は、昨年3月に逝去した作詞家・坂口照幸氏の遺作で、雨音が聞こえる酒場を舞台にした哀愁たっぷりの楽曲だ。コンサートツアーが始まり、今年は昨年以上に多くの会場で歌いたいと意気込みを話す。小さな巨人・福田こうへいは、元気の源“オロナミンCボイス”を全国に届けたいと、今日も全力で歌っている。

 

これまで生きてきた道のりを振り返ってみるような歌

 

見上げる大空に広がる真っ白な雲海。まるでそこに浮かんでいるかのように雄々しくそびえる天守閣。日本国内には、「天空の城」と呼ばれる城郭跡がいくつもある。
福田こうへいの新曲「天空の城」を作詞した荒木とよひさ氏は、「一番『天空の城』としてふさわしいのは岐阜城だな」と話していたというが、今回の歌詞は特定の城をモデルにして書いたのではないらしい。日本人の精神や無骨な男の生きざまが、凛然とした城にたとえて書かれている。

「人生の振り返りみたいなイメージの歌かなと思っています。歌詞に出てくる“天空の城”というところは、過去の自分に置き換えられる。これまで生きてきた自分の人生、昔の自分。まだ私は40代で、歌うには“おませな”内容かな(笑)。歌詞に“孫”が出てきますのでね、50代後半から60代になって、仕事ももうちょっとで定年だなというときに、『どんなふうに生きて来たんだっけなあ』と、これまで歩んで来た道のりを振り返る。そういう歌だと思うんです」

★★★★

「天空の城」は、福田の作品としては初めて、荒木氏に作詞を依頼した作品だ。福田は、コンサートで神野美伽の「男の海峡」や小金沢昇司の「南部酒」などを歌うことはあったが、特別に荒木氏の作品だと意識して選曲していたわけではなかった。
一方で、ディレクターから依頼されて作詞を引き受けた荒木氏は、テレビやDVDで福田の歌唱を聴いて、ある程度は”福田こうへい”という歌手に対する予備知識は持っていたようだ。作詞だけでなく映像制作など、もの作り一般が好きな荒木氏は、歌に対しても厳しい審美眼を持っている。その荒木氏がレコーディングの日、初めて福田の歌を聴いて、「こいつはすげえや。思っていた以上だ。こんな歌い手は初めてだ」と感嘆していたという。

ひとりでレコーディング・ブースに入って歌っていた福田は、そのことを知る由もなく、後日ディレクターから聞いて驚くことになる。

「レコーディングは今回も、あまり曲を聴き込まないで行きました。オケを録るときに初めて編曲したものを聴くから、その前にあまり先入観だけで勝手に歌を作っちゃうと、直しにくくなる。だから水森先生が歌っているデモのメロディーだけ聴いていたくらいです。キーもデモとは違うのでね。オケ録りの当日に『ためしに、覚えているとこだけ歌ってみて』と言われて、一番だけ何回も繰り返して歌った。その日はそれで終わりでした。本番のレコーディングの日には、改めて編曲したものでイメージをつけてから行くんです」

 

メロディーと歌詞にのっとって“自由に歌う”

 

「天空の城」について、福田は“前作「北風よ・・・」に次ぐくらい、ちょっと別世界な歌”に感じられたと話す。水森英夫氏らしい曲調は、福田自身どういうふうに表現すればいいのかわからなかったそうだ。最初は“真っ直ぐ、真っ直ぐ”に歌ってみた。すると、「固く歌っているから、もっと自由に歌ってみて」と言われたので、自由に歌うと「そっちの方がいい」とすぐに決まった。
福田は音感がいいので、レコーディングはとにかく早い。ディレクターも作家陣も、福田の持ち味をわかっているので、とくに注文もなく、いつもあっという間に終わってしまうそうである。

「自由に歌うというのは、歌を知らない人のように“こねくって歌う”のではなく、メロディーと歌詞にのっとって“自由に歌う”の。難しくはないけれど、聴いた後で皆さんがホッとできるかできないかは考えますね。あとはCDを購入した人や、歌を聴いてくれた人が、『この歌はずっと聴いていたいな』と思うのか、『カラオケに行って自分が歌ってみたいな』と思う曲になるのか、ですね。『天空の城』は、けっして難しい歌い方はしていないんだけど、すごく低い声でスタートして終わりは高い声で終わる。他の人は果たしてどのキーで歌うんだろう。いろいろな人から、”福田こうへいは、通の人が挑戦してみたくなる歌を出してくる”と言われてきました。その一曲に、この曲も加わったかなと思います」

★★★★

カップリングの「雨の影法師」は、2021年発売の前々作「男の残雪」の作詞も手がけており、昨年の3月に亡くなった作詞家・坂口照幸氏の遺作。口には出さなくても誰もが心のどこかにしまっている未練、忘れられない心情が描かれている。

「これは坂口先生が、ご自分の奥さんのことを書いたのだと思っています。歌詞の『うしろ髪ひく おまえの噂』というのは、もし坂口先生が亡くなったら、その後奥さんはどうするの?という話を耳にすることがあったんじゃないのかな…と。坂口先生にお会いしたことは数えるほどしかありません。でも、先が長くないことをわかった上で書いた詞なのではないかとわかるんです。私には、先生自身のことを書いた詞のように思えてならないんです」

 


▶︎前回の福田こうへいさんのインタビューはこちら
【Colorful Interview】福田こうへい 小さな巨人の心意気〜お客様を元気にする“オロナミンCボイス” 〜

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