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【ライブレポート 】〜神野美伽が歌に託した思いと希望の匂い〜コンサート2022「さあ、歌いましょう!」

神野美伽が6月7日、東京・中野サンプラザでコンサート2022「さあ、歌いましょう!」を開催した。コロナ禍で2020年6月30日に予定されていた同所でのコンサートが中止となって以来、東京でのホールコンサートは2年7カ月ぶりとなる。

今だからこそ、歌の喜びをたずさえて「さあ、歌いましょう!」


「何があってもずっと続けてきたコンサートが、コロナ禍で丸2年空いてしまいました。それでもここに戻って来られたということ、私自身がいろいろな葛藤を経てここにいられることが、ただただうれしいです。いろいろな人に助けられて、いろいろ気持ちに変化もあって。体調の面では、“ダメかな、間に合わないかもな”と思った時期もありました。だけど、あきらめなくて本当によかった!」

今年の3月に椎間板ヘルニアによる右脚急性麻痺の緊急手術を受け、退院後は通院と自宅でのリハビリを続けてきた神野。衣装の下の両脚はテーピングだらけで、リハビリのトレーナーも同行している。

「弱いプロレスラーみたいですよね(笑)。病院に行ったり、手術台に乗ったり、“私、なんでこんな目に遭うんだろう”って思っていたことが、いまでは人ごとみたいに吹っ切れています。気分的に、すごく楽になりましたね。久しぶりに舞台に立つことって、ある意味恐怖なはずですけれど、いまはこんなにも楽しめている。会場に来ている皆さんに、早く会いたいなあって、のんきに考えています。今日のコンサートは、私も本当に楽しみ!」と開演前から笑顔をこぼしていた。

コンサートの第一部は、“神野がいま歌いたい曲”を集め、メドレーを含めた珠玉の10曲。「ブギの女王」笠置シヅ子のカバー曲でコンサートはスタートした。

演歌の活動が自粛モードだった時期も、ラテンやジャズ、クラシックなど別のジャンルのミュージシャンと活動していた神野。そのご縁で、東京キューバン・ボーイズのブラスセッション13名が神野のバンド・神野組を強力にバックアップ。ラテンサウンドをフューチャリングしたマンボメドレーなどで観客を魅了した。

また、翌6月8日にリリースされる新曲で、51年前に江利チエミが歌った「旅立つ朝(あした)」とカップリングの「テネシーワルツ」も、発売に先立って初披露した。

そして、大阪でスカウトされた10歳の頃から親交があり、尊敬していた西城秀樹の晩年に思いを馳せて歌う「めぐり逢い」、そして“あなたに逢えてよかった あなたには希望の匂いがする”という歌詞こそ、いま一番に伝えたいことだと、そのものだと話した和田アキ子の「あの鐘を鳴らすのはあなた」で一部を締めくくった。

第二部は着物に着替え、オリジナルの演歌中心の選曲で「日本の男」「千年の恋歌」を皮切りに、男唄でも女唄でも定評のある神野の歌声の真髄を聴かせた。

「勝手な思い込みで、オリジナル曲は限られた先生にしか作っていただいていないと思っていましたが、ビックリするくらいいろいろな先生の作品をいただいていました」と話すとおり、荒木とよひさ、麻こよみ、吉幾三をはじめ、デビューから39年間の代表曲は枚挙にいとまがない。
23年前に韓国でデビューし、韓国で発売したアルバムの収録曲「海の伝説」、コロナ禍に発売したため、生で歌う機会がなかったため、日本語だけでなく中国語と韓国語でもレコーディングしたという「泣き上手」も披露した。

フィナーレに向かい会場の熱気も最高潮に。「今でも最高のラブレターをいただいたと思っています」と話す「手紙」、「酔歌ソーラン節」から最後の「あんたの大阪」までは観客を圧倒するほどの迫力でおおいに盛り上げた。

鳴り止まぬ拍手にもう一度幕が上がると、アンコールはステージに神野がたったひとりで登場し、アカペラで「Amazing grace」を熱唱。最後は静かにその幕を閉じた。

「ラテンやジャズバンドとのコラボなど、このタイミングでなければ出来ない経験ができて、コロナ禍もまんざら悪いことだけじゃなかったと思います。日本にはジャンルにこだわらず、世界中の音楽を当たり前のよう取り入れて、日本独自の音楽を生み出していた時代がありました。それがいまの私の一番やりたいことだと気づきました。そこに、51年前の江利チエミさんの「旅立つ朝」を再リリースする話が来たんです。これを“ご縁”と言わずになんと言うの? 歌手とは不思議なもので、いま私の体の中には江利チエミさんや笠置シヅ子さんが生きているんです。“歌う輪廻”だと思うの。物まねでも創作でもない、リスペクトがなければ成立しないこと。これを自分の中で昇華して、自分の音楽の世界ができたらいいなと思います」

開演前に熱く話していた神野。約2000人の来場者一人ひとりの心に、神野が歌に託した思いと希望の匂いが届いたに違いない。

 

◾️1st セットリスト(with 神野組+東京キューバンボーイズ ホーンセクションズ)

M1 ヘイヘイブギ (笠置シヅ子)
M2 ジャングルブギ (笠置シヅ子)
M3 ホットチャイナ (笠置シヅ子)
M4 テネシーワルツ (江利チエミ)
M5 旅立つ朝(あした) (江利チエミ)
M6 踊りあかそう (江利チエミ)
M7 Mambo Medley(お祭りマンボ~PaPa LOVES MAMBO~MAMBO ITALIANO)
M8 めぐり逢い (西城秀樹)
M9 君は薔薇より美しい (布施明)
M10 あの鐘を鳴らすのはあなた (和田アキ子)

◾️2nd  セットリスト(with 神野組)

M11 日本の男
M12 千年の恋歌
M13 冬の月
M14 石狩哀歌
M15 海の伝説(レジェンド)
M16 泣き上手
M17 浮雲ふたり
M18 手紙
M19 酔歌ソーラン節Ver.
M20 無法松の一生
M21 男船
M22 男の海峡
M23 あんたの大阪
Enc. Amazing grace

(取材・文/夏見幸恵)


NEW RELEASE!!

2022年6月8日発売
神野美伽「旅立つ朝(あした)

「旅立つ朝(あした)
作詞:保富康午 作曲:村井邦彦 編曲:鈴木豪
c/w「明日(あす)に生きる女」
作詞:山上路夫 作曲:村井邦彦 編曲:鈴木豪
c/w「テネシー・ワルツ」
作詞・作曲:Pee Wee King / Redd Stewart 訳詞:和田寿三 編曲:鈴木豪
キングレコード KICM-31066 1,500円(税込)

 

CHECK!!

神野美伽オフィシャルサイト
神野美伽公式Twitter
神野美伽Instagram

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