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【Colorful Interview】三丘翔太 10周年の節目を前に新曲「ゆうなぎの唄」で聴かせる新境地

10月16日発売の新曲「ゆうなぎの唄」は、三丘翔太のオリジナル表題曲(A面)では初めてのメジャーワルツの叙情歌。海辺に暮らす人々の営みや、夕暮れ時のうら淋しい風景を、三丘が情感豊かに歌っている。カップリング曲の「困るのよ」は、前作のカップリング「捨てられないの」の流れを汲むムード歌謡テイストの楽曲。まったくタイプの異なる二曲を、どちらも類いまれな歌唱力で表現している。

 

誰の目にも浮かぶ原風景を描く

前作までとはガラリと雰囲気が違う新曲「ゆうなぎの唄」は、日本の原風景が目の前に浮かんでくるような曲ですね。

三丘 今作は、ディレクターさんから「どんな歌が歌いたい?」と聞かれて「きれいな歌が歌いたいです」と答えたらでき上がってきたんです。いままでいろいろなパターンの演歌や歌謡曲を歌わせていただきましたが、オリジナルの中に美しいメロディーの曲はなかった。汚いメロディーばかりだったという意味ではないですよ(笑)。たとえば五木ひろしさんの「千曲川」のような、とても美しいメロディーライン。叙情歌みたいな歌がほしいですと言って、作っていただきました。昔の童謡や唱歌のように、ヨナ抜き音階(※1)で作られています。中山晋平さん(※2)の世界観を、水森英夫先生も意識されたみたいです。

※1 ”ドレミファソラシド”の4つ目の”ファ”と7つ目の”シ”がない音階(四七抜き音階)のこと。
※2 大正時代に活躍した作曲家。「シャボン玉」「あめふり」などの童謡、「カチューシャの唄」「船頭小唄」などの流行歌をはじめ、新民謡や校歌、社歌など多数の作品を残した。

新曲はどんな曲を歌いたいかということは、いつもディレクターさんに話されていたんですか?

三丘 「ゆうなぎの唄」で初めて聞かれました。これまでは、“こんな歌を三丘に歌わせたい”という水森先生の発案があって…というかんじでした。この作品はちょうど10作目になりますし、僕は来年デビュー10周年を控えています。大きな節目を前に、本当に歌いたい歌をと思って聞いてくださったのかなと思いますね。水森先生は、どちらかというと直線的な力強いメロディーが多いのですが、「メジャーのワルツとかいいですよね」と言ったら、そのまま作ってくださった。こんなメロディーもお書きになるんだと驚きました。先生と出会ってから15年、門下になって12年。先生のいろいろなメロディーを聴かせていただいた中でも、これはなかったんじゃないかと思います。

歌詞に“とうふ屋ラッパ”“となり組”など出てくるので、時代背景は現代ではないですよね。

三丘 歌詞を初めて見たときに、海辺の光景が目に浮かぶような気がしました。日本の古い映画で寅さん(『男はつらいよ』)などにも出てくるような風景が、この詞を見ていると広がってくる。すごくいい詞だなと思いました。歌詞に関してはあまり要望はなくて、“普遍的な内容がいい”と伝えたような気がします。いままでの僕の作品は、わりと色恋の歌が多かったのですが、今作はそういうのを抜きにした普遍的な歌詞。日本は海に囲まれています。誰もが想像できる世界であり、でもいまは失われつつある風景でもある。“だれもかれもが ちょっとさみしい”心情が垣間見えるのかなと思います。

作詞を手がけられた前田たかひろ先生には、実際にお会いしましたか?

三丘 レコーディングの時に、初めてお会いしました。「ゆうなぎの唄」のような穏やかな雰囲気じゃなくて(笑)、安室奈美恵さんの「Don’t wanna cry」なども書かれたJ-POPの作詞家なので、いまどきな感じのする先生でした。埼玉にお住まいだそうで、それなのに海辺の歌を書いたと自虐されて(笑)。歌詞はどこかの地方を特定したものではないようです。ずっと演歌を書いてこられた先生ではないからこその視点があり、とても面白い歌詞だと思いました。“じゃれ合うかげぼうし 帰り道”とか、言葉選びが独特です。演歌だと五・七で組んでいったり、わりと母音を使うのですが、この曲はひとつの音に対してひとつの言葉をはめているんですね。譜面で母音を表す“伸ばし棒(ー)”がほとんどないのが、めずらしくて新鮮に感じました。

実際に歌われてみて、いかがでしたか?

三丘 とっても新鮮でした。メロディーラインがシンプルなので、どういうアプローチでも歌えちゃう。そこがかえって、難しいですね。どういうスタイルの「ゆうなぎの唄」にしようか、レコーディングまでに時間がなかったので、急いで考えました。ストレートに歌ったり、曲線的に歌ったり、レコーディングではいくつかのパターンで歌ってみました。水森先生からは、イメージとしては「知床旅情」を森繁久弥さんのような歌い方でと…。あまり感情的にならず俯瞰で歌うことを意識してと、レコーディングで言われました。CDのバージョンはこういうかんじですが、ライブで歌うとどうなるのかなと自分の中でもわからないくらい、そのときそのときの心持ちで変わってくる曲なのかなと思っています。

 

「困るのよ」は”どムード”歌謡! 世界に入り込んで歌っています

一方のカップリング曲「困るのよ」は、趣が全然違うムード歌謡。前作のカップリング「捨てられないの」を彷彿させますね。

三丘 これはまた“どムード”で、すごく楽しいんですよね。自分は女性でもないし、こういうドラマを実際に体験することはないじゃないですか。こういう世界を歌い飛ばす…いいですよね(笑)。ちょっと入り込んじゃって、演じるかんじですね。“困るのよ 困るのよ”というフレーズが、耳に残ります。キャッチーさと、ちょっと毒っぽさ。これがムード歌謡の魅力のひとつじゃないでしょうか。メロディーもアレンジも強力です。アレンジの猪股義周先生には、今回初めてお会いしました。昭和のグランドキャバレーの時代を生きてこられた先生だからこその、“令和の時代に、このサウンドをやっちまおうぜ!”みたいなアレンジです。猪股先生はレコーディング時、楽しそうでしたね。マンボのリズムに合わせて、“ウッ!”とか言われていました(笑)。

歌っているご自身と歌の世界が違うところに、三丘さん独特のムード歌謡があるような気がします。

三丘 お客様が一番、そう思っているかもしれませんね。素朴な少年のイメージのころからずっと見てくださっているのに、“あの翔太くんが、「捨てられないの」とか「困るのよ」なんて歌っちゃうの?”と(笑)。もともとムード歌謡は大好きです。プレイボーイっぽい人が歌うとまた違ってくるはずですが、そういう世界とはほど遠い僕が歌っているから面白いのでしょうか。ムード歌謡は、ヒット曲がすごく多いんですよね。フレーズが耳に残るような、強烈なものが多い。「よせばいいのに」なんて、タイトルからすごいです。「足手まとい」も“足手まといだから 別れていきます”というワードチョイス! すごく情熱的なんですけど、重たすぎますよね。自分のことを“お荷物だから”だなんて。いまだと不適切と思われそうな、男性が強い時代の歌ですね。

 

久しぶりのワンマンライブ。期待してください

10月27日にライブハウスでワンマンライブを開催されますね。どんなライブになりそうですか?

三丘 目黒のブルースアレイというライブハウスで、初めてやらせていただきます。ピアノとギターの生演奏なので、どういう歌がいいかなと考えて選びました。いつものど演歌のかんじとは雰囲気を変えて、セットリストは一部と二部で少し変えようかなと思っています。いままでのライブと違ってジャズ系のお店なので、僕のファンの皆さんが来づらいんじゃないかなと少し心配ですが……(笑)。久しぶりのワンマンライブですから、僕もお客様と一緒に楽しめるようにこれからお稽古頑張ります。すっかり秋も深まってまいりましたので、アコースティックでセンチメンタルな曲あり、元気な曲ありでお届けします。『Mits Live』、ぜひご期待ください!

ありがとうございました! 最後に、読者の皆さんにメッセージをお願いします。

三丘 「ゆうなぎの唄」は僕の10枚目のシングルで、水森先生と前田先生にまた新しい三丘翔太の歌の世界を作っていただきました。カップリングの「困るのよ」と、同じ人の歌とは思えない二曲の対比を楽しめる一枚ができたと思っています。来年はデビュー10周年を控えています。ぜひ応援をよろしくお願いします!

(取材・文/夏見幸恵)

【PROFILE】三丘翔太(みつおかしょうた) 1993年11月30日、静岡県藤枝市生まれ、神奈川県横浜市育ち。カラオケ喫茶を営む祖父母の影響で演歌に興味を持ち始め、初めて歌った演歌は大泉逸郎の「孫」。高1のとき出場したNHK『のど自慢』で北島三郎の「北の漁場」を歌いチャンピオンに。その直後に出場したカラオケ大会で審査員だった作曲家の水森英夫氏にスカウトされて師事。2015年、五木ひろしの推薦歌手としてBS朝日『日本の名曲 人生、歌がある』に出演しデビューのチャンスを掴む。2016年「星影の里」で歌手デビュー。2017年10月「日本作曲家協会 奨励賞」受賞 。歌謡曲のレパートリーは1000曲以上ある懐メロの伝道師。

 

 

NEW RELEASE!!

2024年10月16日発売
三丘翔太「ゆうなぎの唄」

「ゆうなぎの唄」
作詞:前田たかひろ 作曲:水森英夫 編曲:猪股義周
c/w「困るのよ」
作作詞:さくらちさと 作曲:水森英夫 編曲:猪股義周
テイチクエンタテインメント TECA-24055 1,500円(税込)

 

CHECK!!

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