【Colorful Interview】祝・デビュー10周年! 杜このみが新曲「葦風(あしかぜ)峠」で魅せる新境地
2013年5月「三味線わたり鳥」でデビューした杜このみが、デビュー10周年を迎えた。6月21日発売の10周年記念シングル「葦風(あしかぜ)峠」は、愛する人をただ待ち続ける切ない女心が、哀しいメロディーに乗せてドラマチックに描かれている。今作は第二子出産のために休業していた杜の二年ぶりとなる復帰作であり、女性として母親として大きく成長した杜の新たな魅力を堪能できる。インタビューでは、“いま一番幸せです”と話していた杜。やわらかな笑顔が印象的だった。
いまがいちばん幸せ! 大きな幸せをかみしめながら歌っています
デビュー10周年、本当におめでとうございます。10年間を振り返ってみて、いかがですか?
杜 ありがとうございます。あっという間に10周年ということで、自分でもびっくりしています。10年というと“大先輩”というイメージがありましたが、まだ新人のころの気持ちが続いているような感覚です。一年一年大切に積み重ねてきましたが、コロナ禍がありちょうどその間に妊娠と出産を経て、母になって演歌界に戻ってまいりました。そういう意味でも、まるで新人のようなフレッシュな気持ちですね。歌わせていただけるということは本当に貴重なことなのだと感じながら、幸せをかみ締めています。これまでの10年の中でいまが一番、楽しいですね。
コロナ禍や休業期間があったからこそ、感じられるようになったこともありますか?
杜 そうですね。でも休業中は歌いたくても歌えなかったのではなく、子育てのおもしろさを味わいながら子どもの成長を見守っている期間でした。人生において、すごく貴重な経験をしたなと思っています。それ以前は日本全国いろいろなところへ行ったり深夜の放送に出演したりもしていて、振り返る余裕もないくらい日々を一生懸命に生きていたという感じでした。いまは少し自分を見直すというか、自分の人生において”歌うこと”の意味を大切に、一日一日を過ごさせていただいています。
新曲「葦風峠」を聴かせていただきました。想像していたよりも哀調を帯びたメロディーで、詞曲ともにとても切ない作品ですね。
杜 はい。今作は曲が先にできていまして、岡先生が”いい作品に仕上がったよ”と言ってくださったメロディーです。10周年記念シングルですので、ハッピーな曲がいいんじゃないかという意見もありました。けれど、いつも支えてくれているディレクターさんやスタッフの皆さんの「杜このみは”本格的な演歌を歌える歌手”として、10年、20年、30年と歌い続けてほしい」という思いから、あえてもの哀しいこの曲に決まりました。
杜さんの10周年にふさわしい曲をということで完成した作品なのですね!
杜 はい。オケ録りのとき、オーケストラの皆さんが”このみちゃん、こういう哀しい作品も歌えるようになったんだね”と言っていただいたのですが、それがとてもうれしくて。難しいですけど、歌ってみるとおもしろい作品です。メロディーラインがすごくドラマティック。低音の落とすところがポイントで、そこが決まると「葦風峠」のもの哀しい世界観が一気に広がります。それと、この曲はイントロから哀しい感じで始まって、エンディングがすごく短いんですよね。もっと聴きたいのに、パッと終わられちゃう不思議な感覚で、岡先生も”最後はあえて短くした”と、そこにものすごくこだわって作曲されたそうです。
ちなみに「葦風峠」はどこかにあるのでしょうか?
杜 葦風峠は、じつは架空の峠なんです! 某ドラマに同じ名前の峠が登場したことがあるみたいですが、それもおもしろいですよね。聴く人の想像によって違う風景が浮かぶように、あえて実在しない名前をつけられたそうです。円先生が”タイトルは絶対にこれです”と最初から決めていらしたみたいで、先生にとっても思い入れのある作品のようです。そんな曲を歌わせていただけるのはとてもうれしいです。
演歌歌手として年を重ねていくことが楽しみ
お仕事に復帰されましたが、お子さんが小さいうちは両立が大変ですね。
杜 母になって強くなりました。私自身は変わった気がしないのですが、周りから”強くなったね”と言われます。自分の命よりも大切な存在ができたこと、守る存在があることは大きいですね。でも、演歌歌手でいることも私の大切な夢。娘や息子も、まだわからないかもしれませんが、お母さんに自分の夢をあきらめてほしくないんじゃないかなと思います。自分の夢をしっかりと持ちながら、頑張っている姿を見せていきたいですね。家族みんなが応援してくれて、”いってらっしゃい”と送り出してくれるから頑張れるのだと思います。小さな子どもはぐっすり寝てくれる日もあれば、そうでない日もあります。そこは大変ですが、かわいいので癒やされていますし、大きな幸せを感じています。
新曲のジャケット写真の横顔が、これまで以上に色気と深みのある表情をされているのが印象的でした。
杜 そうですか?! でもじつは、MV撮影のときにもカメラマンさんに”前よりも表情の幅が増えたね”と言われました。私自身は、とくに意識することはないんですけれど…。新人のころからずっと「演歌は40代から」と言われていたので、これまでは元気はつらつでしたが素敵に年を重ねて、演歌の似合う年齢になっていきたいなと思っています。大人の女性像、演歌歌手の先輩方の美しい姿に憧れを持っているので、少しずつでも近づけているのならうれしいですね。
少しずつ後輩の皆さんも増えてきましたが、先輩としてはどのようなことを感じていますか?
杜 いま、演歌界に新しい風が吹いているという感じがします。私自身“先輩”と呼ばれることが増えて、あ、先輩になっちゃったんだと、ちょっとびっくりしますけれど(笑)、後輩の皆さんがキラキラ輝いているのを見ると、私も頑張ろう!という力をもらえるし、私も後輩たちに憧れてもらえるような歌手を目指していきたいなと思います。デビュー当時は細川師匠の「最初で最後の愛弟子」と言っていただいて、それがキャッチコピーみたいになっていたのですが、いまは弟弟子や妹弟子が増えました。彩青くんは民謡の後輩でもありますし、細川師匠そっくり! とても20歳とは思えませんね(笑)。田中あいみちゃんはパワフルなソウルフルボイス。あいみちゃんが来てくれて、細川一門が一気に華やかになったような感じがします。
ありがとうございました。最後に、これからの抱負を聞かせてください。
杜 細川一門では皆さんがそれぞれ自分の道を極めて、お互いに師匠を越えられるようになることが恩返し。私も師匠に近づけるように、”杜このみ”として演歌歌手の道を確立していきたいです。いまは協力してくださる方たちがたくさんいるので、お仕事に専念することもできています。とにかく周りの皆さんに感謝しながら、これからも皆さんに愛される歌手になれるように頑張ります。どうぞよろしくお願いします。
NEW RELEASE!!
2023年6月21日発売
杜このみ「葦風(あしかぜ)峠」
「葦風(あしかぜ)峠」
作詞:円 香乃 作曲:岡 千秋 編曲:南郷達也
c/w「みなと桟橋」
作詞:円 香乃 作曲:岡 千秋 編曲:南郷達也
テイチクエンタテインメント TECA-23032 1,400円(税込)
CHECK!!
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(取材・文/夏見幸恵)
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