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【Colorful Interview】こおり健太 〜新曲「忘れ針」で始まる新たな歌世界〜

こおり健太が9月14日に15作目となる新曲「忘れ針」をリリースする。繊細な女ごころの機微ややるせない胸の痛みを情感豊かに歌い上げ、女唄の名作を次々と世に送り出してきたこおり。今作では、いままで歌ったことがないと語るほどの強い女性の心情を見事に表現し新たな歌世界を生み出した一方、カップリング曲「ふるさとの駅」ではこおり自身が作詞作曲に挑戦。歌手を目指してふるさとを旅立った日に、実際に父親と交わしたシーンをしたためたという歌詞が胸を打つ。11月にはいよいよ15周年目がスタートするこおりに、それぞれの新曲について、その思いを語ってもらった。

 

「忘れ針」は二人の思い出。思い出すたびにチクチク痛む…

 

今回も前作「乗換駅」に続き、木下龍太郎先生の遺作を預かっていらした大谷明裕先生が作曲された作品ですね。

こおり そうなんです。「乗換駅」の時と同じく、大谷先生が”この木下先生の世界観を歌える歌手にめぐり合えるタイミングがなかった”と、こおり健太という歌手の依頼が来て、”これはこおりだろうと思った”とおっしゃってくださいました。本当にありがたいですし、歌わせていただけることがうれしいですね。

「忘れ針」という言葉はあまりなじみがありませんが、こおりさんはどのように捉えられていますか?

こおり 初めて詞をいただいたとき、僕も「忘れ針」って何?と思いました。着物を仕立てる際に仮縫いをまち針で止めるじゃないですか。それを抜くのを忘れて羽織ってからチクッとして気づく。きっと「忘れ針」は二人の思い出ということなんでしょうね。それが思い出すたびにチクチク痛むという。ただ、前回の作品とは世界観がまったく違うので、正直とても難しかったです。木下龍太郎先生の世界がすごく出ていて納得させられるところもあるんですけれど、この物語のすべてが押して押して押して!というかんじもあっていままでにはない作品なので、いろいろと噛み砕いて理解するまでに少し時間がかかりました。

押して押して押して!というと?

こおり まず、この曲は”これでもか!”とオケから攻めているイケイケの演歌なんですよ。あまり引くところがない。それだけ主人公の思いが強いことを表しているのかもしれないけれど、これがまた、主人公の女性自体がかなり強いんですよ! 涙を流して…というようなしおらしさがまったくなくて、かわいそうと思わせない(笑)。あなたとの思いを縫い合わせてみてもあなたは去っていきほつれてしまう、一生懸命やったけどあなたは別の女性のところへ行ってしまう…。全部、あなたのせい(笑)で、女性の弱さが見えてこなかったんです。これまで歌ってきた中で一番強い女性だと思いますね。

その強い女性を表現するために、歌われる上でどのようなアプローチを?

こおり どちらかというと僕はこれまでの作品の主人公のような奥ゆかしさのあるしなやかな女性が理想。いままではそういう女性像をイメージして歌えていたのですが、今回の女性は想像するのが難しくて。流れに任せるように客観的に物語を伝える、というようなスタンスで歌いました。でも出来上がった曲を聴いて、それが逆によかったのかもと思いましたね。物語を組み立てようと思うと、どこか伝わりづらくなっちゃうところがあるから。

想い出紬を 手にすれば
いまでも心が ちくりと痛い
憎さが消えない せいかしら
いいえ 未練という名の 忘れ針
(「忘れ針」歌詞より)


歌詞では、最後に”未練”があると認めていますよね。強がっているだけで、本当は弱さや悲しさを隠しているようにも思えるのですが…。

こおり そうなのかなぁ(笑)。女性と男性では感じ方も違うかもしれませんね。とにかく、あまりにも作品としての完成度が高すぎて、この曲をどう皆様に伝えるか、というのを僕もまだ探っている状態です。この曲の歌詞もメロディーも本当に美しいしすべてが備わっているので、あとはこれから皆さんの表情を見ながら、この歌の世界を作っていきたいなと思います。

15作目にして、新しい歌世界、これまでにない課題を与えられたような…。

こおり 本当にそうですね。世界観が素晴らしすぎて、これは5年後や10年後に理解できるんじゃないかな。いまではなくて。そのときはもしかしたら僕も結婚しているかもしれないし、この歌のように誰かと出直しているかもしれないしね(笑)。数年後に改めて振り返ってみたいなと思わせてくれる深い歌です。

 

捨てる思いで家を出た、あの日の覚悟を歌に込めて

 

そして、カップリング曲「ふるさとの駅」はこおりさんご自身の実体験をもとに作詞作曲をされたとか。

こおり はい。3年勤めた保育所を辞めて、歌手になるのを夢見て僕が上京する日の朝、2階から降りたら両親がいたんです。父が「送っていくから休みを取った」と言うので、3人で新幹線に乗るために駅に向かいました。でも、父親って何も言わないんですよ。気まずいのもあるし、やっぱりとても心配していたんだと思います。歌手なんて本当にできるのかと…。でも僕は、いましかできないと思った。両親が元気なうちに東京に出て頑張って歌手になろうと、本当に家を捨てるくらいの強い気持ちで飛び出した。それが一行目からの歌い出しに書いた思いなんです。

 あなたの想いに 背を向けて
捨てる覚悟で 家を出た
そんな息子(こども)が ここにいる
(「ふるさとの駅」歌詞より)


メロディーもとても素敵ですが、作曲はどんなふうにされたのですか?

こおり じつはこれまでにも経験はあるのですが、歌にしようとか作曲しようとかそういうつもりではなく、手紙を書いてそれを読むときにどんなBGMが後ろで流れていたらより相手に伝わるだろうと考えていると、自然に頭の中にメロディーが流れてくるんです。この曲も、とりあえず鼻歌で…(笑)。

それもひとつの方法ですね(笑)! 自作の歌をご両親の前で歌われるのは照れくさかったりしますか?

こおり それが、歌に乗せてだとそんなことないんですよね。直接言うのはちょっとアレだけど(笑)。どういう思いで両親が聴いているのかはわからないですけど、この前も二人の前で歌いました。ちなみに、地元からすぐ近くの福島県相馬市で9月25日にコンサートがあります。この日は父の誕生日なんですよ。

それは楽しみですね! 素敵な親孝行になると思います。さて、新曲リリースを経て11月には15周年目をスタートされますが、最後にひと言メッセージをいただけますでしょうか。

こおり ありがとうございます。15年目に歌う15作目。「忘れ針」は記念曲ではないのですが、僕にとって新たな歌世界ともいえる記念曲らしい、スケールの大きな曲をいただいたと思います。メロディーは結構高低の差がありますけれどすぐに皆さんも覚えられると思います。大谷先生も”それを逆に楽しんで”とおっしゃっていましたので、ぜひカラオケで歌ってもらえたらうれしいです!

 

【PROFILE】こおり健太(こおりけんた) 1983年1月5日、宮城県出身。幼いころから歌手になりたいという夢を持つ。3年間保育士の仕事に携わり、そのかたわらカラオケ大会などに出場し入賞や優勝を獲得、腕を磨く。福島県で高視聴率の番組、福島テレビ『FTV 弦哲也のカラオケグランプリ』で第7回グランドチャンピオンに輝き、その後上京し、2008年「口紅哀歌」でデビュー。若手男性演歌歌手の中でも指折りの女唄の名手として、高音の美しい声で多くのファンを魅了している。かわいすぎる愛犬「ずんだ」ちゃん(写真)との楽しい日常をTwitterで公開中。

 

NEW RELEASE!!

2022年9月14日発売
こおり健太「忘れ針」

「忘れ針
作詞:木下龍太郎 作曲:大谷明裕 編曲:南郷達也
c/w「ふるさとの駅」
作詞・作曲:こおり健太 編曲:田代修二
徳間ジャパンコミュニケーションズ  TKCA-91455 1,350円(税込)

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INFORMATION

こおり健太「唄心」ライブ2022

日時:2022年9月25日(日)
会場:福島・音屋ホール(福島県相馬市馬場野字岩穴前202)
時間:<1回目>新曲「忘れ針」発売記念ライブ 開場 10:30 / 開演 11:00
<2回目>~父・母への唄便り~ライブ 開場 13:30 / 開演 14:00
料金:各公演 4,500円(全席指定/1ドリンク付/税込) ※別途チケット送料800円
※当日券は+500円。ただし、前売券が完売の場合は当日券の販売はございません。
チケットお問い合わせ:03-5269-0175(こおり健太ファンクラブ「唄心」事務局・平日11時~18時)
その他詳細は、こちら

 

CHECK!!

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こおり健太オフィシャルブログ
こおり健太公式Twitter

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