【Colorful Interview】三山ひろし　デビュー15周年第二弾は“ガンガン演歌”！「北海港節」で大海原へ

2023.07.11Interview

三山ひろしが7月5日、デビュー15周年を飾る第二弾シングル「北海港節」を発売した。北の港町を舞台に、漁師の生きざまを描いた男唄。三山自身の歌い手としての生きざまを重ね合わせ、豪快に歌い上げている。
故郷を捨てるつもりで上京し、15年前ついに歌手デビューを果たした三山に、大きな節目を迎えたいまの心境と、これからも歌手として生きていく覚悟を聞いた。

「北海港節」はガンガン演歌！味付けはちょっと濃い目⁉︎

三山ひろしです。僕の新曲「北海港節」、皆さん聴いていただけたでしょうか。

パンチが効いていますよね！ディレクターさんがつけてくれたキャッチフレーズは、“ガンガン演歌”。その名のとおり、ガンガン歌わないと歌えない歌です。コロナ禍が落ち着き、会場で声を出してもOKだったりカラオケの規制も少なくなってきました。皆さんの免疫力を高めるためにも、ガンガン歌って、ガンガン元気にやっていきましょう！という意味も込めて、今回”ガンガン演歌”の「北海港節」を出させていただきました。

★★★★

この曲では漁師の生きざまがテーマになっていますが、他の仕事でも同じだろうと思います。師匠がいて、その教えを受けて、それを自分の代で花咲かせて、さらに大きなものにしていくことが務め。そういう男の生きざま、かっこよさを歌っています。いではく先生からデモ音源をいただいたとき、“三山くんらしさを出してもらえれば”と言われましたので、僕は自分の人生、歌い手稼業と重ね合わせて歌わせていただいています。いつもなら自分を投影しないように、ちょっと引き気味で歌うのですが、今回は等身大の自分のこととして歌ったので、味付けはちょっと濃い目（？）になっています（笑）。

”ガンガン演歌”としましては、まずはとにかく出だしの4小節を歌い切らないといけません。そうして最後まで歌い終わった後は、爽快感が残る歌です。また、間奏がこの曲の“おしゃれポイント”。転調することによってドラマ性が出てきて、風景が見えてくる感じがします。
そしてなんと、CDに収録されているかけ声は、弦哲也先生です！声出しOKの会場では、ぜひ皆さんにも“よいしょ”、“どっこい”と、かけ声をかけていただきたいですね。

漁師の覚悟と心意気に似通った、自分の人生

この業界に入ったとき、“ここで生きていく覚悟をしなければ”と思いました。僕は、芸能の家系で生まれ育ったわけじゃない。自分が初代なので、受け継ぐものがありません。けれど、ここで生きていくと決めたし、いただいたご恩も返さなくちゃいけない。ましてや、師匠の中村典正先生から名前をいただいた恩義もありますから（中村典正氏の別名「山口ひろし」から）、師匠の顔に泥を塗るようなことをしてはいけない。初代でありながらも、これを次の代に残すことを考えて行動しなければならない。デビュー以来、常にそういう気持ちを持っています。

僕が田舎から出てきて、師匠（松前ひろ子氏）のライブレストランで雇っていただいたとき、「今日から家族だから。お母さんを幸せにしてあげられるよう、一生懸命修行しなさいよ」とおっしゃってくださった。感謝の気持ちでいっぱいです。自分がどうなりたいかということよりも、そんな師匠に喜んでもらえる自分でありたいと思いました。中村先生がお亡くなりになってからは、その気持ちがさらに固まりました。これから先、中村先生の名前が語り継がれるように、弟子である僕が本道を歩かなければならないという責任と覚悟です。

「北海港節」の主人公にも背負うものがあって、それを守りながら生きていく覚悟がある。漁師の稼業は一か八か、坊主か大漁かという世界です。そこで生きていく心意気に、似通っているものがあるなと思いました。

絶対に歌手になってやる

僕が25歳で上京を決めたとき、“歌手になれるかどうかは博打みたいなもの”“歌手になんて、なれるはずがないよ”と言う人が大半でした。それでもし歌手になれなかったら、故郷にはもう帰れません。女手ひとつで僕を育ててくれた母親が後ろ指をさされる、そんな親不孝はイヤだと思いました。故郷へは歌い手になるまでは帰らない覚悟で高知を出たからこそ、望郷の念がものすごく強い。本当は…1時間15分で行けるんですけどね（笑）。物理的な距離ではなくて、心の距離として、故郷がものすごく遠かった。東京に出たらもう二度と帰れないだろうなという思いと、絶対に歌手になって母に元気な姿を見せたいという思い。お金なんか稼げなくても、歌手になれたという事実だけを持って帰れればいいと、いつも思っていたわけです。

付き人をやっていたころ、前歌で歌わせていただくと、“僕の田舎は高知県で…”と、いつも故郷の話をしていました。そのことを思い浮かべて話しているうちに、寂しくて涙が出てきたこともあります。
僕はいまになってお国自慢を始めたわけではありませんよ。18年前から勝手にやっていました（笑）。だからいま、こういう形で（観光特使、高知家のアニキなど）高知県のプロモーションを任せていただいたり、高知が舞台となった朝ドラ（『らんまん』）に出演させていただけるようになれたのは、本当にうれしいことです！

三山さん、NHKの朝ドラ『らんまん』に出演されましたね！

そうなんですよ！皆さんご覧いただけましたでしょうか⁈
ドラマ出演は、15年目にして初めてのことです。「仙石屋」という呉服問屋の若旦那・浜村義兵衛という役でした。カメラを通してのお芝居は、大きく演じる舞台のお芝居と違って、動きが非常に細やか。大女優の松坂慶子さんと縁側で二人で話をするというシーンがあって、すごく緊張して何度もやり直しました（笑）。
高知県人だから土佐弁は大丈夫だろうと思っていましたが、伝わりやすい土佐弁と、高知県人にしかわからない土佐弁があるんです。なまりすぎてわからないのは困るので、高知県人の僕が高知県の方言指導の先生に土佐弁を教えていただきました（笑）。撮影の合間には、みんなで楽しくけん玉をやったりもしましたよ！

ファンの皆さん、かけがえのない15年をありがとうございます

芸歴としての15年は短いと言う人もいますし、僕自身もそんなに長くやっているとは感じていません。でも一般的には0歳だった子どもが中学3年生になっているくらいの年月で、お互いに年を重ねているんですよね。“あっという間でしたね”と軽い感じでは言いたくないなと思っています。

ファンの皆さんの15年という命の時間と、僕の歌手生活の15年。一緒に歩んでこれたからこそいまがある。「人恋酒場」でデビューしたころは、自分が紅白に出場することや朝ドラやCMに出演できるなんて思いもしませんでした。そんなときからずっと応援してくれているファンの皆さんに、”かけがえのない、この15年をありがとうございます”と言いたいです。

新曲「北海港節」が発売になりました。“ガンガン演歌”ですから、僕も“ガンガン三山”です（笑）。北島三郎御大からも「15年で一人前とは言えないけど、30年も経てば自然体になれるんじゃないか」というお言葉をいただきました。常に進化を遂げられるようにするためには、自分の“余白”が大切だと思います。やろうと思ったら何ごとにもチャレンジして、吸収できる余白を残しておきたい。やりたい夢がまだまだいっぱいあって果てがないんですけれども、着実にひとつずつ、挑戦を重ねていきたいなと思います。

皆さんを笑顔にしたい。常に新しいコンテンツで皆さんに楽しんでいただきたい。これからも、“次は何をやるんだ”と期待を持っていただける、そういう三山ひろしでありたいです。

【PROFILE】三山ひろし（みやまひろし）　1980年9月17日、高知県南国市出身。2007年『日本クラウン創立45周年新人オーディション決勝大会』で準グランプリを受賞。2009年6月発売のデビュー曲「人恋酒場」が10万枚を超えるヒット。2010年、ゴールドディスクに認定される。それ以降ヒット曲多数、『輝く！日本レコード大賞』『日本有線大賞』などでの受賞歴も多数。2015年より8年連続で『NHK 紅白歌合戦』に出場中。けん玉道4段（2級指導員）、ドローンオペレーター3級。落語、裁縫、竹とんぼ作り、カブトムシ飼育など多趣味で多才。高知県観光特使、よさこい親善大使、けん玉大使、かつしか観光大使に任命されている。