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【COLORful Interview】谷龍介 これからも一曲入魂! 自分にしか歌えない歌がある

谷龍介デビュー20周年記念の両A面シングル「塒(ねぐら)/夢で抱かれて」が、10月1日発売された。吉幾三による全面プロデュース第三弾で、やんちゃな男の生きざまを吉ならではの視点で描いた「塒(ねぐら)」は、男っぽくてユーモアあふれる谷にぴったり。2001年に吉が発売した作品をカバーした「夢で抱かれて」は、吉が「俺よりうまく歌う」と絶賛した谷の女唄をしっとりと聴かせる。男として歌い手として脂の乗り切った谷が、吉幾三との出会いを振り返り、今作への意欲を話してくれた。

 

「父子じゃないか…」が繋いでくれた吉先生とのご縁

デビュー20周年記念シングル「塒(ねぐら)/夢で抱かれて」は、第三弾となる吉幾三先生の作品ですね。全面プロデュースしていただくことになったきっかけを教えてください。

 最初のきっかけは『幾三フェスティバル』(2022年7月発売)というトリビュートアルバムで「父子じゃないか…」を歌わせていただいたことです。野中さおりさんが「情炎」、こおり健太さんが「哀のブルース」、いろいろな歌手が吉先生の作品をいい感じにカバーされているアルバムですが、レコーディングのときに吉先生が僕の歌を聴いて「谷龍介って誰だ?参加しているヤツの中で、一番うまいじゃないか」と、言ってくださったそうなんです。ディレクターさんが「三船和子さんの事務所の方だよ」と教えたら、「へえ、そうなんだ。うまいなあ」とおっしゃっていたことを後から聞いて、びっくりしました。

それが最初に作っていだたいた作品「杖」につながったんですね。

 ちょうどその年末に僕の母が亡くなりまして、広島の実家に吉先生から花をいただいたんです。そのお礼を言いたいと思って、年明けに仙台で吉先生の芸能50周年を記念したコンサートでご一緒させていただいたときに楽屋で待っていたら、入ってこられた吉先生が僕を抱きしめて泣きながら「谷、これから頑張ろうな」と言ってくださいました。その後で書いていただいたのが「杖」です。

続いて、二作目の「呉に帰ろうかの…」は、どのような流れで作っていただいたんですか?

 「杖」の反響がすごく良かったので、「谷の次の作品はどうする?」と吉先生も気にしてくださって、このまま第二弾に行こうという話になったようです。テーマが“ふるさと”になったので、僕の生い立ちをメールで吉先生に送りました。それでできた作品が「呉に帰ろうかの…」。僕の親父が「安来節」という民謡の師範の資格を持っていると言ったら、「おまえも民謡を歌えるか」と聞かれて、歌ったことはなかったですが民謡にチャレンジすることになりました。広島の呉と言えば「音戸の舟唄」。これを親父がすごく喜んで教えてくれました。ちょっとしたテクニックを教えてもらったので、演歌のこぶしも入るけど、民謡のこぶしも入れていますよ。

寝床へ戻ってまた明日から頑張る。人生はその繰り返し

そしていよいよ今作ですね。これまでの二作は等身大の作品でしたが、「塒(ねぐら)」についてはいかがですか。

谷 今回は、吉先生にお任せしました。20周年を迎えるにあたって、ちょっとひと息つくような区切りとして、これまでと違った作品を歌わせたいと思われたんじゃないかと思っています。「塒(ねぐら)」の歌詞を読んでみますと、やっぱり自分とダブるところもあったりしますね。がむしゃらに頑張っていたころもありましたが、この歳になって若い子たちを見ていると「昔は僕もこういうことやっていたな」と、懐かしさを感じてしまいます。夜通し飲んだり、騒いだりしたしてたこともあったな、なんてね(笑)。いいことも悪いこともいろいろなことが起こるけど、今日は“塒”…寝床に戻って、また明日から頑張る。毎日毎日、人生ってその繰り返しだと思うんですよ。

両A面の「夢で抱かれて」は、歌われてみていかがですか?

 寂しい歌を寂しく歌うとつまらなくなるので、声は明るく歌うようにしています。レコーディングのとき、吉先生が途中でブースに入って「ちょっと俺が歌ってみるわ」と、僕には思いつかない歌い方で歌ってくださったのは、すごくいいヒントになりました。「夢で抱かれて」もそうですが、「呉に帰ろうかの…」のカップリングの「ふたり舟」のような王道演歌の女唄を歌うと、吉先生が「谷は、俺よりうまく歌う。俺にないところを持っているからうらやましいわ」と絶賛してくださるんですよ。「声を濁らせて表現するところなんか他の人にはできないから、おまえの女唄は本当にいいね」と。すごくうれしいのですが、調子に乗りすぎて失敗しないよう気をつけないといけないですね(笑)。

ありがたいご縁と運を大切に、自分の良さを生かして歌っていきたい

吉先生とは、歌以外のことも語り合ったことはありますか?

 吉先生のご自宅の近くに行きつけの居酒屋があって、そこに行かせていただいたときに、「俺は末っ子なんだよな」「僕も末っ子です」なんてところから、いろいろな話をしてくださったんですよ。「谷、おまえは広島から出てきたんだろ。俺は、青森の五所川原でね。昔、親父から二度と敷居をまたぐなと言われて出てきたんだ」と泣きながら話してくださるのを聞いていると、自分とすごく境遇が似ているなと、つくづく感じました。こうして続けて新曲を、なんて普通はなかなかいただけるものじゃないですよね。ここまでたどり着けたご縁と運、そして流れがあったんですね。僕は本当に運がいいと思います。ありがたいですね。

ご縁と運は本当に大切ですね。これからのデビュー20周年に生かしていきたいですね。

 この20年間、いろいろな曲をいただいてきて、自分でも「これはいいな」と思う作品も多々ありました。前作の「呉に帰ろうかの…」もまさにそうで、僕の生きざまと民謡が入った一生に一度の曲だという気持ちで歌ってきたんですけどね…。演歌・歌謡曲ファンの皆さんも高齢化してきて、CDも売れない時代だというし、どうしたらいいのか僕が聞きたいぐらい(笑)。でも20年やってきた中で、谷龍介という名前も少しずつ覚えていただけているなというのを感じられるようになりました。これからも僕なりに、このまままっすぐに進んでいくしかないなと思います。

最後にファンの皆さんに何かメッセージをお願いします。

 デビューしてからもう20周年で、僕も50歳になりました。視力も落ちてきたし、だんだん年齢を感じてしまうようになってきましたけど、五十肩などならないよう、なんとか頑張っていきたいと思います(笑)。歌はこれからも一曲入魂!吉先生から節目の曲をいただいたんだから、何かを残したいという思いがすごくあります。とにかくこの一曲に打ち込んで、吉先生にせっかく褒めていただいた自分の良さを生かしながら、熟練した歌を歌っていきたいなと思います。皆さん、どうぞよろしくお願いします。

【PROFILE】谷龍介(たにりゅうすけ) 1975年4月14日、広島県呉市出身。小学2年生から野球を始め、地元広島カープの入団テストで最終選考まで残ったが、左肩を壊した後遺症のためプロ野球の道を断念。上京して2001年より三船和子音楽事務所に所属。三船の付き人修行から歌手を目指し、2005年9月「女の子守唄」で念願のデビューを果たした。故郷の広島をこよなく愛し、2014年5月「くれ観光特使」に就任。スポーツマンらしい男っぽさとさわやかな歌声、ユーモアのある人柄がファンを魅了している。

(取材・文/夏見幸恵)

 

NEW RELEASE!!

2025年10月1日発売
谷龍介「塒(ねぐら)」

「塒(ねぐら)」
作詞・作曲:吉幾三 編曲:杉山ユカリ コーラス:吉幾三
「夢で抱かれて」
作詞・作曲:吉幾三 編曲:京建輔
徳間ジャパンコミュニケーションズ TKCA-91654 1,500円(税込)

CHECK!!

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