【COLORful Interview】おかゆ 自分自身に、何度も問いかけながら生きていく

人は誰でも「なぜ?」と自分に問いかけて、答えを探しながら生きている。6月18日に発売されたおかゆの新曲「ジモンジトウ」は、自分との対話を繰り返しながらも未来を信じ、一歩踏み出す勇気を描いた楽曲だ。編曲には、King&Princeの「シンデレラガール」、中島みゆき「時代」などの編曲で知られる船山基紀氏を迎え、シンガーソングライターとしておかゆ自身が新たな一歩を踏み出すための楽曲として制作した。3タイプ同時発売のカップリング曲も含めた4曲、それぞれに込められた思いについて話を聞いた。
誰かのために綴っていたつもり。今にして思えば、自問自答だったのかもしれない
近年の作品は「渋谷のマリア」「渋谷ぼっちの歌謡曲」と続いたので、新曲も渋谷シリーズ第3弾かなと思っていました!
おかゆ じつは、私もそのつもりでした(笑)。いつもの相棒のギターを弾いていたとき、「ジモンジトウ」のサビの部分が出てきたんです。いままでと違った雰囲気のメロディーだったのでディレクターさんに聴いてもらったら、“すごくいい曲になる気がするから、すぐに詞をつけてほしい”と言われて。このメロディーがすごく刺さったようです。詞をつけているときは、どちらかというと、誰かのためにという思いで歌詞を綴っていました。でも出来上がった歌詞をいまになって見てみると、自分自身に悩んだり迷ったりする部分があって、自分を鼓舞するためにこういう言葉をのせていったんじゃないかなと思いました。自問自答しているとは思ってはいませんでしたが、自問自答していたんですね。
どうして「ジモンジトウ」とカタカナにされたのですか?
おかゆ 漢字で「自問自答」だと堅苦しくて、とっつきにくい気がしませんか? 私はインディーズのころに「オンナナガシ」というカタカナのアルバムを出したことがあって、結構カタカナ好きなんです。ひらがなだと、“おかゆ”もひらがなで被るし…(笑)。あと私、四字熟語が好きなのかもしれないです。「七転び八起き幸せに」も、“七転八起”ですし。四字熟語とかことわざのタイトルは、これからも出てくるかもしれないですね(笑)。
「G線上のマリア」は、坂本龍一さんのインストルメンタルにおかゆさんが詞を書いた「戦場のメリークリスマス」を思い出しますね。
おかゆ そうなんです。どうしても伝えたいことが「戦メリ」の中にいっぱい詰まっていて、あのメッセージを歌で届けたい、形にしたいと思ったんです。それでクラシックの権利的にOKな名曲の中から、バッハの「G線上のアリア」を選んだ。これなら「戦メリ」と同じテーマで、よりブラッシュアップした言葉たちを乗せられるかもしれないと思いました。聖母マリアを主人公にして、バイオリンのG線で奏でる“アリア”と“マリア”をかけて。ラブ&ピースを伝えるにはどうしたらいいのか、あらためて向き合ってみました。でも、バッハ独特のメロディーに言葉が合わない。歌詞をどう展開したらいいんだろうと、すごく難しかったです。
歌謡曲のAメロ、Bメロという概念や、日本語をのせるという前提なしで作られているクラシック曲ですからね。シブヨル盤の「シブヨル」は、すごく渋谷っぽい曲だと思いました。
おかゆ これは自分用にストックにしてあった曲で、最初は「夜のウィンドウショッピング」というタイトルだったんですよ! でも、“ウインドウ”が“ウインドウ”とか“ウインドー”とまぎらわしい。ハッシュタグでつぶやくときに間違えちゃう気がしたので、「シブヨル」にしました。この曲には“シティ”という感じがあったし、私の中で街といったらやっぱり“渋谷”。渋谷の交差点、渋谷の街に酔いしれていく男女。夢も恋も全部ここで交差していくような、そういうテーマに広げていった感じですね。渋谷の夜ではありますが、「渋谷に寄っていく」という意味もあって、“夜”と“寄る”のダブルミーニングなんです。「夜のウィンドウショッピング」だと長いし、言いにくいから「シブヨル」にしてよかった!
その手は桑名の焼き…ハマグリ? しじみ?
「桑名の渡し」はご当地ソングですが、桑名を選ばれたのはどうしてですか? 桑名で一日警察署長やライブもよくやられていますよね。
おかゆ 桑名にある“ソシアルスナックしじみ”という名物スナックのママさんが、私のことをすごく応援してくださっていて、よく流しやライブでお邪魔しています。そこのお客様たちも、“桑名はちっちゃい町だけど、おかゆちゃんを盛り上げていこうよ”と言ってくださっていて。地元でもないのに警察署の方にも応援していただいたり、8月10日にはレストランRoccaさんでディナーショーをやらせていただきます。桑名市長から“桑名の曲を作ってください”と言っていただいたので、私の作った曲で町に恩返しがしたいなと、長島温泉湯あみの島で10日間歌謡ショーをしたときに最後の3日間で仕上げてワンコーラスを弾き語りで歌いました。2番はどうしようと考えて、桑名名物をリサーチしながら桑名色を盛りだくさんにして作りました!
“その手は桑名の焼き蛤”と言いますから、歌詞に出てくる貝殻はハマグリですか?
おかゆ 桑名といったら絶対にハマグリ! 皆さんにもそう言われましたが、“一緒に食べたハマグリが…”なんて歌詞に入れちゃうと、ハマグリのイメージが浮かびすぎて、ハマグリに引っ張られますよね。だから、あえてただの貝殻にしました。一応ハマグリですが、スナックしじみさんも含めた貝です(笑)。それと、愛知の熱田と三重の桑名の距離は七里あって、そこをつないでいたのが“七里の渡し”なんですね。船に乗る“渡し”と、自分自身の“私”をかけられるかなと思って作りました。……あれ? カップリングは全部かけ言葉ですね。“アリア”と“マリア”、“夜”と“寄る”、そして“渡し”と“私”…。自分でもいま、気がつきました(笑)。
“ジモンジトウ”しながら、“おかゆタウン”をカッコいい街に!
バラエティー豊かですね。アレンジャーが「ジモンジトウ」を含めて4曲ともすべて違います。船山基紀先生に初めてアレンジしていただいて、いかがでしたか?
おかゆ ずっと憧れていました。いままでの作品でも、船山先生みたいな世界観でとお願いしたこともあります。今回やっと念願が叶い、ご本人にアレンジしていただけました。最初リモートでごあいさつしたとき、船山先生が「歌詞を何度も読んじゃったよ」と言ってくださったことが光栄で、すごく印象に残っています。レコーディング時もとてもお優しくて気さくで、“こういうほうが良くない?”や“どっちがいいと思う?” と意見を聞いてくださいました。そのことにものすごい衝撃と感動を覚えて、本当にうれしかったですね。これからもまた船山先生にアレンジをお願いできたらと思うので、私もいい曲を作れるように頑張りたいです。
どの曲にも作られた背景があって、おかゆさんの思いが込められていますね。
おかゆ すべての曲が渾身ですね。いまは皆さん、それぞれが好きな曲を聴く時代になっているじゃないですか。今回は3タイプのシングルを出していますけど、私自身がもともと持っていた音楽観だったり、新しく生まれたものだったり、それぞれジャケットもカップリングも 制作過程も全部違っています。私から皆さんにプレゼンしているような感じでもありますので、それぞれの曲を皆さんがどう受け取ってくださったかを知りたいですね。応援してくださる皆さんに“おかゆちゃんの歌で元気になれたよ”と言っていただけるのが本当にうれしいです。
ファンクラブも、“おかゆん家”から“おかゆタウン”にリニューアルされましたね。
おかゆ はい! 私のファンの皆さんって家族みたいなんです。ファンというよりも、心の距離感に本当の家族みたいなつながりがある気がしています。最近はファンの方の本当のご家族からも「推し活のおかげで張りがあるみたいです。ありがとう」と感謝されることもあって。応援することで身体の不調が治ったとか、元気でいられると聞くと、私の方がありがたいと思います。このたび“おかゆタウン”になったので、私も住民のひとりとして、皆さんと一緒に街づくりをして、一緒に盛り上げていきたいです。「ジモンジトウ」しながら皆さんと一緒に、おかゆタウンをカッコいい街にしていきたいですね。

【PROFILE】おかゆ 1991年6月21日、北海道札幌市出身。歌手になることが夢だった母のもと、小さいころからスナック に行き歌謡曲聴いて育った。急逝した母の夢を引き継ぎ、2014年から“流し”の活動を始める。2017年、テレビ東京『THEカラオケ★バトル』で2回優勝。2019年4月、47都道府県を流しで制覇。2019年5月「ヨコハマ・ヘンリー」でメジャーデビューを果たす。2023年5月発売「渋谷のマリア」で『第16回 CDショップ大賞2024 歌謡曲賞』受賞。BSテレビ東京『徳光和夫の名曲にっぽん』、TBSラジオ『にゅーとぴ♪』に出演中。
NEW RELEASE!!
2025年6月18日発売
おかゆ「ジモンジトウ」
【G線上盤】
「ジモンジトウ」
作詞・作曲:おかゆ 編曲:船山基紀
c/w「G線上のマリア」
作詞:おかゆ 作曲:J.S.Bach 編曲:斉藤真也
ビクターエンタテインメント VICL-37783 1,500円(税込)
おかゆ「ジモンジトウ」
【シブヨル盤】
「ジモンジトウ」
作詞・作曲:おかゆ 編曲:船山基紀
c/w「シブヨル」
作詞・作曲:おかゆ 編曲:阿部靖広
ビクターエンタテインメント VICL-37784 1,500円(税込)
おかゆ「ジモンジトウ」
【桑名盤】
「ジモンジトウ」
作詞・作曲:おかゆ 編曲:船山基紀
c/w「桑名の渡し」
作詞・作曲:おかゆ 編曲:新田高史
ビクターエンタテインメント VICL-37785 1,500円(税込)
ストリーミングサービスおよびiTunes Store、レコチョク、moraなど主要ダウンロードサービスにて6月18日より配信スタート
※音楽ストリーミングサービス:Apple Music、Spotify、YouTube Music、LINE MUSIC、Amazon Music、Deezer、AWA、Rakuten Music、KKBOX、TOWER RECORDS MUSIC
CHECK!!
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