【ライブレポート】石橋拓也Presents「匪石之心〜ボクの歩くみち〜」で魅せた”感謝”と”素顔”

5月15日、東京・浅草Gold Soundsにて行われた夜公演は、東京力車のリーダー・石橋拓也Presents「匪石之心〜ボクの歩くみち〜」。この日33歳の誕生日を迎えたばかりの”主役”石橋のソロライブだ。愛する仲間(ファン)、そしてメンバーや関係者に囲まれながら、普段とはひと味違う“個”の魅力と“人柄”を存分にさらけ出した、特別な一夜となった。
「音楽がこの世にあってよかった」── 二度の手術を乗り越え、伝えたかった想い
真っ暗なステージの中央に、石橋がやってくる。開演すると同時に始まったサザンオールスターズの名曲「希望の轍」。この曲を選んだ理由は、きっといまの彼の“心境”そのものだったろう。
2曲目の「JAM」では、さらにぐっと温度が上がった。これまで”人生”という名の道を全力で走ってきた石橋の、強い想いが滲むその歌声に、観客は静かに耳を傾けた。
「昨年はのどの手術でこの生誕祭ができなかったので、今年は無事できてよかったです。2回手術して、声がちょっと変わってしまうかもしれないとかうまく出るかなとか、そんな不安がやっぱ襲ってくるわけですね。毎日毎日ね。そんなときに、やっぱり音楽って素晴らしいなと、音楽がこの世の中にあってよかったなって思える瞬間があって。僕を支えてくれた、すごく大好きな一曲を皆さんにお送りしたいと思います。それでは聴いてください」
そう話し、「プレゼント」を熱唱。続けて、桑名正博の代表曲のひとつ「月のあかり」と、バラードを中心にソウルフルに届けた。どの楽曲も“誰か”に想いを届けるような温もりを感じるものばかり。歌で大切なファンへ想いを伝える、まさに石橋からの”プレゼント”だった。
「今日はね、ボクの歩くみち。”匪石之心”っていうのは、覚悟を持ってその先に進んでいく、みたいな意味があるんです。自分が手術をしてあの状態になっていなかったら、こう感じることもなかったかもしれないし、これから先に何があるか分からない。32歳と33歳、31歳のときとじゃ、同じ出来事でも感じ方が違うんじゃないかと思う。歳を重ねこのタイミングで、この『プレゼント』という曲をね、歌いたいなというふうに思ってこの曲を選びました」
「ひとりじゃない」── 母・家族への感謝、そして仲間との絆
「中学のとき、親父がMDコンポを買ってくれて。EXILEとかORANGE RANGEばっか聴いてた俺に、“これ聴け”って渡してきたのが尾崎豊さんだった」
ライブ中にはこんなエピソードを語りながら、父の影響で出合ったという一曲「I LOVE YOU」を披露。そして中盤には、スペシャルゲストとしてライブに花を添えた沼井雅之氏によるピアノのソロコーナーも設けられ、フロアに静かな美しい音色が響いた。
石橋はブルーの革ジャンが鮮やかな衣装に着替え再びステージへ戻ると、郷ひろみの「僕がどんなに君を好きか、君は知らない」、玉置浩二の「純情」と、世代を超えて人気のある歌謡曲のカバーでしっとりと聴かせた。
「お母ちゃんの愛のある説教とか、僕の体のいろんなところや血となってこう出来上がってるんだなぁと。お母ちゃんを大事にしないとなってね、思うんです。ちょうど母の日に女方の舞台(『浅草カルメン』)の千穐楽だったので、急だったけどまだ間に合うからって電話して“今から来い”って。いままでそんなこと、一回も言ったことないんですよ。ものすごい恥ずかしい気持ちを抑えながら、言ったんです。そしたら食い気味に“明日仕事だから”って。即答でした(笑)」
MCでは、自身の家族、とりわけ母への想いが語られる場面もあった。笑いを交えながらも、母への愛と感謝を語る石橋。そして年始には、長く会えずにいた祖母のもとを訪ね、亡き祖父に手を合わせたことも明かされた。自身の家族について語るその時間は、いつも以上にピュアで、まっすぐな石橋の人柄を忍ばせる特別なひと時だった。
「皆さん、心で受け取ってくれてどうもありがとう。僕の歩く道は、とてもひとりじゃ生きていけない。ひとりで生きていたら感じなかったこともたくさんあるし、出会えなかった人もたくさんいると思う。だから今日、33歳がスタートしますけれども、俺には大切な人がいるんだと、一緒に歩いている仲間がいるんだと、そんな思いと感謝を込めて、次の曲を皆さんにお届けしたいと思います」
ライブも終盤になり、披露されたのは「ひとりで生きていたならば」。“大切な存在とのつながり”を、声高らかに歌い上げる石橋のもとに、盟友である東京力車のメンバーの白上と田井が寄り添い、歌声を合わせた。互いに顔を見合わせこれまでの道のりを、そしてこれから進む一歩を確かめ合う3人の情熱あふれるシーンを、観客は温かく見守った。
そして、最後は彼らの代表曲「ARIGATOU」で締めくくられた。終わりが近づくにつれ手拍子がどんどん大きくなり、想いがひとつになった。
この日は、石橋の“歌い手”として、そして“人”としての魅力が随所に表れていた。ただ、上手いか下手かということだけでは計れない、“伝える力”が際立っていた。派手な演出もなく、ただ歌うことで”真心”を届け続けた一夜。人と人とのつながりを、何よりも大切にする石橋拓也という人間の“生き方”を見ているようだった。
「匪石之心ー”石橋拓也”が歩くみちー」。それは愛する人たちと、そして夢とともにどこまでもまっすぐに続く温かいみちだ。
◾️セットリスト
M1 希望の轍
M2 JAM
M3 プレゼント
M4 月のあかり
M5 I LOVE YOU
沼井さんソロ(ゲスト)
M6 僕がどんなに君を好きか、君は知らない
M7 純情
M8 愛し君へ
M9 君がいないから
M10 ひとりで生きていたならば
M11 ARIGATOU
▶︎【ライブレポート】石橋拓也Presents「千載一遇〜出会いにありがとう〜」で竜徹日記と共演
NEW RELEASE!!
2025年2月12日発売
東京力車「俺らしく…」
<Type-A>
「俺らしく…」
作詞:山本譲二 作曲:徳久広司 編曲:矢田部正
c/w「ぷちょへんざじゃぱん!!<東京力車 feat.石橋軍団>」
作詞・作曲:GA-HA- 編曲:NOBUHIKO SATO
c/w「ミスターランナー」
作詞:武田鉄矢 作曲:千葉和臣 編曲:周防泰臣
テイチクエンタテインメント TECA-25003 1,650円(税込)
2025年2月12日発売
東京力車「俺らしく…」
<Type-B>
「俺らしく…」
作詞:山本譲二 作曲:徳久広司 編曲:矢田部正
c/w「ぷちょへんざじゃぱん!!<東京力車 feat.石橋軍団>」
作詞・作曲:GA-HA- 編曲:NOBUHIKO SATO
c/w「ゴールめざして」
作詞・作曲:合田道人 編曲: 呉井辰吉(SUPA LOVE)
テイチクエンタテインメント TECA-25004 1,650円(税込)
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