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ともに演歌師修行をした仲間との50年ぶりの再会から実現。渥美二郎&梶原あきらに「千住ブルース」について聞く

渥美二郎と梶原あきらが歌う「千住ブルース」(2024年7月24日発売)。作詞作曲は、千寿二郎名義で渥美二郎自身が手がけたものだ。渥美の出身地である千住を舞台に、かつて夜の歓楽街で活躍した演歌師(ギター流し)を描いた作品で、2003年に渥美が発表した「おそい春」のカップリングだったが、今回デュエットバージョンとしてセルフカバーし、シングル化された。気になる二人の関係と、今作の制作経緯について聞いた。

 

50年ぶりの連絡をきっかけに、コンサートで初共演

梶原は、かつて渥美とともに北千住で演歌師の修行をしていた仲間のひとり。寮で共同生活をし、文字通り「同じ釜の飯を食って」腕を磨いた。その後、故郷・石巻市を拠点に歌手として活動するかたわら、ラジオパーソナリティーとしても活躍している。この二人がじつに50年ぶりに再会したことで、今回のリリースに至ったという。きっかけは昨年末、梶原からの一本の電話だった。

「私にとって渥美さんは大先輩であり、雲の上の人なので、私から連絡は取ることは一切していませんでした。でも渥美先輩がご病気を乗り越えて、いまも元気にご活躍されているのをずっと見ていましたし、『声だけでも聞きたい、近況をお伝えしたい』と思って電話させていただいたんです」(梶原)

懐かしい後輩からの連絡に渥美は喜び、思い出話に花が咲いた。その流れで、梶原は石巻で開催するチャリティーコンサート(2024年2月)に触れ、渥美にゲスト出演を提案する。

「すると渥美さんは『いいよ!』と快諾してくださって。あまりに簡単に引き受けてくださったので、すぐにはどうしていいかわからないほどでした(笑)。コンサート当日は、昔のように舞台袖でギターの弦の音を合わせていただき、初めての共演。本当に懐かしくて、もう完全に私の気持ちは、上京した16歳のときに戻っていました。古賀メロディーや、当時流行っていたムード歌謡を一緒に歌って、お客様も大喜びでした」(梶原)

この初共演には、渥美も感慨ひとしおだったという。

「一緒にステージに立つと、僕も当時の気持ちになって、50年の時間なんかパーンと飛んでしまいましたね。かつて一緒に修行した仲間のひとりが、故郷に帰ってからもずっと歌を捨てずに続けていたことにも感動しました。70代になって、こんなに感動する出来事があるなんてね」(渥美)

歌手になりたくて上京、衝撃を受けた先輩の実力

二人が出会った当時、渥美の父親は、北千住で大勢の演歌師を束ねる事務所「渥美芸能社」を運営。同時に、歌手を目指して日本各地からやって来る若者を受け入れており、多い時で数十人が一人前の演歌師を目指して寮で生活していた。小さいころからギターに触れていた渥美は、10代でありながら同年代の若者に教える立場だった。

梶原も、歌手の夢を追っていた若者のひとり。音楽を志して上京し、たまたま新聞広告を見て訪ねた先が、渥美芸能社だった。ギターもまったく弾けず歌のこともわからない彼に、二つ年上の先輩である渥美が丁寧に教えていた。梶原には、忘れられない光景がある。ある日、演歌師の勉強のため、渥美に連れられて行った店。それまで大声で話す酔客たちで騒がしかった店内が、渥美がギターをポロンと鳴らしひと声歌い始めたとたん、ピタリと静かになったのだ。

「それこそグラスの氷の音がわかるくらい静かになって、みんな先輩の歌に聴き入っていて、すごかった。僕はグループサウンズとかの音楽をやりたくて上京したんですけど、渥美先輩の歌を聴いたときに、こういう歌が歌えるようになりたいと強く思ったんです」(梶原)

梶原あきら(左)と渥美二郎(右)

梶原の生き様とぴったり重なる歌詞

とはいえ、演歌師の仕事は決して華々しいものではなく、つらいことも多かった。「千住ブルース」は、さまざまな悩みを抱えていたかつての仲間たちに、渥美が思いを馳せながら作った曲だ。

「カラオケが普及する前で、演歌師が職業として稼げた時代ですから。来た人間には、みんな一本立ちしてギター一本で稼げるようになってほしくて、ギターや歌を教えていました。でもやっぱり根性がないとできないから、辞めていく人間もいっぱい見てきたんです」(渥美)

チャリティーコンサートでの梶原との共演の後、渥美は過去の自分の作品を見直す中で、この「千住ブルース」の歌詞が梶原にぴったりだと感じ、デュエットを提案したという。

「とても光栄な話。渥美先輩のような歌手になりたいと思って、ずっとその背中を追いかけてきたので、このような形で一緒に歌えるなんて、本当にありがたく、感謝しています」(梶原)

「歌詞が、16歳で上京して演歌師になった、彼のストーリーそのもの。昨年電話をもらってからの不思議な偶然に、いまこれを歌わない手はないと思ったんです。二人とも70代を迎えていますが、目標ができると、なんだかエネルギーが湧いてきますね。なんとかしてこの曲を世の中に残るにものにしたいと、燃えていますよ」(渥美)

 

 

NEW RELEASE!!

2024年7月24日発売
渥美二郎&梶原あきら「千住ブルース」

「千住ブルース」
作詞・作曲:千寿二郎 編曲:兼子かおる・矢田部正
c/w「涙色のタンゴ~2024ver.~」
作詞:桜井幸介 作曲:千寿二郎 編曲:矢田部正
c/w「奥の細道」
作詞・作曲:千寿二郎 編曲:武井正信
c/w「永遠鉄道」
作詞・作曲:岩渕まこと 編曲:矢田部正
日本コロムビア COCA-18215 1,500円(税込)

 

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