【ライブレポート】市川由紀乃 『リサイタル2026 爛漫』を開催。歌に刻まれた人生、これから咲かせる美しい花
デビュー34年目を迎えている市川由紀乃が10月1日、『リサイタル2026 爛漫』を開催した。毎年秋に開催している恒例の公演で、35日ぶりに秋晴れの空が広がった東京・東京国際フォーラム ホールCに駆けつけた熱烈なファンが約1500席を埋め尽くし、その期待と熱気が開演前から会場を包んでいた。

「今回のリサイタルのタイトルは、『爛漫』。これからの歌手人生、どんな逆境にも負けず、美しく豊かに咲いていけたら…そんな思いを込めてつけました。その思いが、今日作品を通じて、そして自分の言葉を通して、皆様のお心に届けられたら」
その言葉通り、ステージにはこれまでの歩みを振り返りながら、新たな花を咲き誇らせる市川の姿があった。
第一部の幕開けは「朧」、そして「ノクターン」。2024年6月に卵巣腫瘍の疑いで芸能活動を休止することを発表し、8月に卵巣がんと診断されたことを公表。2025年2月20日に歌手活動再開を発表するまでの約9カ月間、歌手活動を休止し、同年5月19日に復帰を果たした。その当時を思い返し、あらためて生の歌声を届けられる喜びを語り、「心かさねて」「命咲かせて」の”由紀乃演歌”では、客席からおなじみの“由紀乃”コールが響き、市川と会場とがひとつになった。


写真/斉藤明

今年、2026年は市川の恩師である作曲家・市川昭介氏が旅立ち、20年という節目の年でもある。恩師からデビュー7年目にして初めて授かった作品「海峡氷雨」、市川氏の代表曲となった大先輩・都はるみのヒット曲「涙の連絡船」を披露する前には、恩師との思い出を振り返った。

写真/斉藤明

「デビューして7年かけて先生の歌を歌うことができて、とってもうれしかったです。先生からは人としてどういう思いで生きていくのか、『お母さん、家族を大事にするんだよ。支えてくださっている方々への感謝の思いも忘れちゃいけないよ』。そして、歌のご指導といえば、『悲しい歌を歌うときこそ、由紀乃ちょっと笑ってごらん、微笑んでごらん』と、たくさんのことを教えていただきました。これからも大事に大事に守って、そしてその思いを伝えていきたいと思っております」
続いて届けたのは、「いのちの理由」(さだまさし)、市川が誕生した年のヒット曲「時代」(中島みゆき)、人気ドキュメンタリー番組のテーマソングとしても知られる「サンサーラ」(竹原ピストル)。

「人はなぜ生まれてきて、なぜ出会って、そして過酷な時代の苦難に立ち向かいながらも生き抜こうとするのでしょうか。その答えは、決してひとつではないのかもしれないですね。でも、どんなに激しい雨の夜であってもいつか必ず夜が明けて、巡る時代の中で、私たちは新しい第一歩を踏み出すことができます。生きるということは、きっと深い理由があるのだと信じています」
自身の生い立ち、闘病する姿を追った写真や映像とともに、“命の尊さ”や“生きる強さ”を歌に託した。
第二部では、市川の数々のオリジナル楽曲が新鮮な味わいを放った。
股旅演歌の「昭和生まれの渡り鳥」は、原曲とは趣を変えたディスコアレンジに。さらに「横笛物語」「秘桜」は、「華やかな新しいアジアの風を皆様に感じていただけますように。 また、その物語、その世界にぜひ皆さんに浸っていただければと思います」と紹介し、和楽器中心だったオリジナルとは異なるアジアの民族楽器を取り入れたオリエンタルアレンジで披露。日本から、アジアへ。新たな音色をまとった楽曲たちが、市川の歌声に新しい彩りを与えていった。

写真/斉藤明


「斬新なアレンジでオリジナルと違う楽器が入ることによって、自分でもどういうふうに表現したらいいのかというのを作品とまた再び向き合いました。ああ、歌って深いな、というのを日々勉強させていただいております」
34年という年月を歌手として歩んできたいまもなお、実直に歌を学ぶ姿勢を貫いている市川。その姿勢を示すように、次に「サボテンの花」(チューリップ)、「木蘭の涙」(スターダスト☆レビュー)のカバーをアコースティックなアレンジでしっとりと届けた。

春という季節に重なる“別れ”の物語を、市川が優しい歌声で丁寧に紡ぎ出した(写真/斉藤明)
そしてステージは、「歌絵巻〝演歌万華鏡〟」へ。オリジナル曲の「国定忠治」「千姫」、そして最新曲「ちりぬるを」を楽曲ごとに表情を変えながら、歌と映像で織りなす華やかな世界を展開。市川の圧巻の歌声に、客席からは何度も感嘆の声が上がった。




軽やかなメロディーに乗り衣装チェンジして登場し披露したのは、最新曲「ちりぬるを」のc/w曲「こんな夜にはワルツでも」

くるくると愛らしく表情を変えながら歌唱し、ロマンチックな世界へと観客を誘った
「今回の市川由紀乃リサイタル『爛漫』、残すところあと二曲となりました。始まりがあれば終わりがあることは、もうわかっていることですけれども…この二曲は、市川由紀乃の”由紀乃演歌”には欠かせない作品だと思っております」
そう話し、「雪恋華」を力強くも妖艶に歌い上げた。

「歌って人生なんだな…人生が歌。諸先輩方や歌仲間の皆さんの歌声を聴く中で、その人の人生を感じられる。素敵だな、いろいろなことがあったけど前を向いて頑張って生きている。そんな姿に、私自身も日々勉強を重ねる喜びを噛みしめております。デビューして34年目になりますけれども、いろいろな経験があったからこそ歌える歌があると信じています。演歌、演じる歌と書きますけれども、私は歌を歌うときは、自分の人生を皆様に感じていただける、そんな歌声を届けられる歌い手になりたいと強く思っています」

うれしいことも、苦しいことも、そのすべてが私の人生であり、歌。その思いを込めて最後に選んだのは「あなたがそばに」。一人ひとりへの感謝を込め、会場中に手を振りながら熱唱し笑顔でステージを後にした。

写真/斉藤明
「これからも親孝行できるように、母を大切に、そしてスタッフの皆様を大切に、そしてファンの皆様を大切に、この歌手人生を歩んでまいります」
最後まで何度も客席へ感謝を伝えた市川。『爛漫』というタイトルに込めた思いそのままに、これまでの人生を歌に刻み、また美しい花を咲かせていく。そんな市川由紀乃の“今”が、温かな余韻とともに心に残るリサイタルとなった。

またこの日は、「日本の演歌・歌謡曲の素晴らしさを、海外の皆さんにもお届けしたい。そんな私の大きな夢のひとつが、皆さんの応援によって叶えさせていただけることになりました」と、11月28・29日に台湾・台北市で開催される『日本祭2026』への出演についても報告した。
たくさんの夢を胸に抱き、市川の歩みはまだまだ続いていく。

NEW RELEASE!!
2026年5月13日発売
市川由紀乃「ちりぬるを」
<TYPE-A>

「ちりぬるを」
作詞:松井五郎 作曲:幸耕平 編曲:佐藤和豊
c/w「こんな夜にはワルツでも」
作詞:松井五郎 作曲:幸耕平 編曲:佐藤和豊
(DVD)「ちりぬるを」ミュージックビデオ
キングレコード KIZM-843/4 2,500円(税込)
2026年5月13日発売
市川由紀乃「ちりぬるを」
<TYPE-B>

「ちりぬるを」
作詞:松井五郎 作曲:幸耕平 編曲:佐藤和豊
c/w「こんな夜にはワルツでも」
作詞:松井五郎 作曲:幸耕平 編曲:佐藤和豊
キングレコード KICM-31195 1,700円(税込)
CHECK!!
市川由紀乃オフィシャルサイト
市川由紀乃オフィシャルブログ
市川由紀乃Instagram


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