【ライブレポート】美里里美が新曲を初お披露目! 明治生まれの女流画家・上村松園の物語を力強く一途に歌い上げた「女…序の舞」

デビュー6周年を迎える美里里美が、4枚目のシングル発売情報解禁日の4月20日、『美里里美ライブ~新曲初お披露目~』を開催した。美里の新曲を心待ちにしていた大勢のファンは、そのタイトルなどの詳細も知らされないまま、会場となった東京・新宿のR’s アートコートに集結。大きな期待を抱きながら、一日千秋の思いで開演を待った。また、早朝4時起きで宮城から新幹線で駆けつけたという美里の両親や祖父母も、客席から美里を見守っていた。
コンサートは、歌手デビューを夢見て上京した当時の思いを込めて「ふるさと列車」でスタート。大きな”里美ちゃんコール”が、美里を温かく出迎える。2曲目の「津軽の花」では、すでに感極まって笑顔が涙で潤み始めていた美里。「皆さん、こんにちは。美里里美と申します。美しい里、里は美しいと書いて、上から読んでも下から読んでも…」。自己紹介の最中に涙が止まらなくなり、会場のファンは「頑張れ」と口々に美里を激励した。
「つばくろ情話」に続く「イヨマンテの夜」は、出だしのかけ声で美里は見事な声量のロングトーンを披露。渾身の歌唱で会場を圧倒した。また、一瞬の早替えで着物を赤から浅緑色に着換えると、曲は3枚目のシングル「女ひとりの日本海」へ。“紫組”と呼ばれる美里の応援団は、色とりどりの紙テープをステージへ届けて応援した。

美里に当たっては危ないからと、紙テープを投げ入れない。巻きを解いた紙テープを、ステージ上の美里におのおの手渡すのが紫組流
「美里里美はテイチクレコードからメジャーデビューさせていただいて、5月15日で丸6年が経ち、7周年目ということになります。たくさんの方々に支えていただいて、私は歌い続けることができています。たいへん感謝をしております」
ものまねタレント・清水アキラの秘蔵っ子として知られる美里は、師匠との出会いを振り返った。オーディションとして清水の事務所を訪れた際は、一曲歌ってみせたところで清水から「もういいよ」と言われてしまったと明かす。「ダメなのかな」とがっかりしたら、それに続いた清水の言葉は「君、合格!今すぐにでも東京へ出ていらっしゃい」だった。当時勤めていた仙台銘菓「白松がモナカ」を退職して上京し、清水に師事したエピソードを笑いを交えながら話し
た。
また上京するにあたって、ただ一つ清水から出された条件は、三波春夫の「俵星玄蕃」をすべて完璧に覚えてくることだったという。何度も練習し、今ではすっかり堂に入った「俵星玄蕃」を、力強くしっかりと歌い上げた美里。次の「頑張るよ」ではコール&レスポンス、力強く拳を振り上げながら歌って、観客とひとつになった。
客席には師匠・清水アキラが来場しており、司会のまんぼうに呼び込まれてステージへ。「歌を聴いて、うまくなったなあ、やっとひとり歩きをしてくれたなと思いました。歌が上手な歌手はたくさんいらっしゃいますけど、負けたと思ったことは一度もない。美里に作った曲は私ででさえ歌えそうにないのに、彼女に渡すとうまく歌うんです。だから作り甲斐があるし、それが楽しいですね。最近ステージングがカッコよくなってきまして、これも皆さんのおかげです。本当にありがとうございました」と愛弟子の成長に目を細めた。
また前日は富山県でライブをしていたという清水国明も、美里のために会場に駆けつけていた。ステージに登場し、「アキラの師匠・清水国明でございます。“清水”という芸名は私があげたんですよ」とあいさつすると、「これは本名ですから」と清水アキラがすかさず応酬。「ものまねもスキーも、私がアキラに教えました」「いや、私の方がうまいから。私が結婚するとき仲人をしてくれた私の親分ですので、何かあるごとに駆けつけてくださいます。ギャラなしで」と、息の合ったトークで会場を沸かせた。

「美里の『俵屋玄蕃』、感動しましたね。俺なんかはもう『赤とんぼの唄』も歌詞を見ながら歌ってるからさ」と、自身のフォークデュオ“あのねのね”の大ヒット曲を引き合いに笑わせた清水国明
新曲の情報解禁時刻14時が近づき、「いま、何時ですか?」と清水が時間を確認すると、客席から「13時53分」との声。「まだ14時前ですが、今日来てくださった皆さんにだけ新曲を解禁しましょう。ラッキーですね」と清水が言い、照明がすべて落とされる。ステージ後方のスクリーンには、2019年5月発売のデビュー曲「夕月波止場」から今までのシングル曲が順に映し出され、満を持して新曲の情報が明かされ始めた。「作詞:円 香乃」、「作曲:清水アキラ」、「編曲:伊戸のりお」、詳細が一つずつ映し出され、最後にタイトルが「女…序の舞」と浮かび上がると、イントロがスタート。燃える情念を表すような真っ赤なライトを浴びた美里が、ステージの中央に進み出た。明治生まれの女流画家・上村松園をモデルにした宮尾登美子の小説「序の舞」を題材に、刹那の恋に溺れる女の心情を描いた作品。美里は扇を手に、テイチクレコードの先輩・西尾緑から手ほどきを受けたに踊りも披露し、全身全霊でこの曲に挑んだ。
カップリング曲として発表されたのは「我が人生」。メジャーデビュー前に美里が凱旋コンサートをすることが決まったとき、清水が「せっかく故郷でコンサートをやるのに、何もおみやげがないのではなあ」と書いてくれた思い出の多い曲。それ以来ずっと歌い続けており、CDにしてほしいという要望も多かった作品だ。
「本日はお忙しい中お集まりいただき、歌を聴いていただき、誠にありがとうございました」
歌い終えた美里はステージのその場に正座してマイクを置き、丁寧な座礼。客席からは大きな拍手が送られた。声援はそのままアンコールに代わり、コンサートの最後は「好きになった人」で元気いっぱいに幕を閉じた。
「美里里美は今年30歳になります。大人の女性を目指して『女…序の舞』」という文芸作品にチャレンジさせていただける、素晴らしいご縁がありました。この歌を聴いてくださった皆さんとご縁が繋がって、応援していただけたらうれしいです。そして『我が人生』は、9年間ずっと歌って来た曲でございます。『女…序の舞』『我が人生』、これからも末永くかわいがっていただけますように、精いっぱい歌ってまいりたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願いいたします」
▪️セットリスト
M1 ふるさと列車
M2 津軽の花
M3 つばくろ情話
M4 イヨマンテの夜
M5 女ひとりの日本海
M6 俵星玄蕃
M7 がんばるよ
M8 女…序の舞
M9 我が人生
Enc. 好きになった人
(取材・文/夏見幸恵)
NEW RELEASE!!
2025年6月18日発売
美里里美「女…序の舞」
「女…序の舞」
作詞:円香乃 作曲:清水アキラ 編曲:伊戸のりお
c/w「我が人生」
作詞・作曲:清水アキラ 編曲:小林俊太郎
テイチクエンタテインメント TECA-25026 1,500円(税込)
CHECK!!
美里里美テイチクエンタテインメントオフィシャルサイト
美里里美オフィシャルブログ
美里里美公式Twitter
美里里美Instagram
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